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1908 [書]

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1908年明治41年、日本新聞に載った記事が此の町の発展をより強めたという。
明治18年このまち大磯に西洋的な海水浴場が開かれた。東京からも明治20年開通の東海道線に乗り多くの客が来るようになっという。海水浴場開業から20年を過ぎて全国にも其の名が知れ渡っていたのであろう。避暑地の人気投票で第一位を獲得している。二位は軽井沢、続いて修善寺、時代がしのばれる。
日本新聞とはかって、正岡子規も記者としていた新聞社で、若き日の正岡子規も二度程大磯を訪ねている。この新聞の明朝体の活字に何故か興味を持った。
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最近読んだ、吉本隆明と石川九楊の対談の中で、興味深い記述をみた。書道家石川九楊氏は、「書は筆触だ」と冒頭述べる。中国から伝わった漢字の原点は、石に刻まれる文字が最初だったという。確かに亀甲占いや石に彫る文字から書は始まっている。この時刀で石に彫られた文字の止めの部分が三角形の痕跡を残し、明朝体で強調される、三角の止めのかたちとして残されている姿に納得できる。
書に人の姿が見えるという、隆明氏の世界も今は何故か納得出来る。人の後ろには自然がある事も。
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児童文学作家の灰谷健次郎さんの「太陽の子」の中の少年が、勢い良く文字を書くのだが、止めしか書かずに、何と言う字が書かれたか、大人には判らないというシーンがあった。子供の純真な眼は、書かれる文字の一番力が籠った部分の止めの部分が眼に飛び込み記憶となっていたのだろう。明朝体を見ると力強い三角形の止めや、跳ねの部分が命を持って見えてくる。書は書体であると云った時に、スティブンジョブス氏が、書体のフォントを学び、其の美しいスタイルにこだわった訳も何故か理解できる。世界はその先端と、終わりの部分が最も重要なのだろう。
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花の先端もアンテナのように世界に開いている。其の微細な先端から総ては始まるのだと言っているように。自然が書いた書が花のかたちだとしたら。
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闇の花光で文字をなぞる五月
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筆は刀である。と九楊氏はいう

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寂光

「大磯」、
記事を拝見する度、
いつか一度は訪問してみたいという思いが深まりま。
近年ネットの地図を見ることが多くなりました。
地図を見ながら、
そして地名を見ながら色々なことを想像していますが、
大磯という地に付いては、
SILENTさんのブログ記事が私の案内書となることでしょう。
by 寂光 (2012-05-26 02:40) 

sig

「花は自然が描いた書」…すてきな見立てですね。
by sig (2012-05-27 23:41) 

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