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1958 [家]

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1958年頃の川崎での記憶である。二軒の親戚の家があり川崎駅を降りてその家迄出かける事が年に幾度かあった。当時の川崎駅は京浜急行川崎駅の前にとてつもなく長い踏切があった。電車がくるたびに長い踏切は上下する仕切りによって車も人も線路を横断していた。その幅は50mはありそうな幅広い踏切だった。今は高架になって線路の下を車も人も往来している。その踏切を超えだだっ広い道路を歩いて目的の親戚の家はあった。親戚の家は、敗戦後間もなく伯父さんが建てたバラックと言うなの建物だと母から聞いていた。玄関の開き戸は左右に開く上部が硝子の建具が入っていた。中はいきなり仕切りのない天井もあらわしの大きな箱のような家だった。二階屋程ありそうに見えた天井は高く、梁がはっきりと見え白い瀬戸物の碍子がありコードが張り廻っていた。
そんな50年も昔の家の記憶が近くの公園で拾った長さ十センチ程の蜂の巣で甦ってきた。徳利状の蜂の巣は手の中で重さを感じない程軽い。バームクーヘンのように何層にも積み重ねられた縞模様が地層のように見える。巣の主はどんな昆虫だったのだろうか。擂り鉢状の建造物には蜂の巣状に小部屋が造られる予定だったのだろうか。壁の厚さは1−2㎜程、眼を凝らすと長さ2ミリから3ミリ程の土のタイルで壁は丹念に螺旋状に築かれている。膨大な数の小さな土のタイルを運んだのであろう。
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縄文時代の人が作った土器の様にも見えて来る。作者は唾液と前足と触覚で土のタイルを捏ね上げて運んできたのだろうか。螺旋状の形態は緩やかに渦を巻き、竜巻のようにもみえてくる。
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中国大陸を旅した人が、土地毎にその地域の土の家と壁が同じ色で立ち上がっていたのに、感動したという話を聞いた事を思い出す。黒い土の地方では、そのまま黒い家が土壁や、門や。屋根となり一体化している。赤い土の地域では赤い集落が大地から立ち上がる。白い土の部落では白い部落が陽炎の中でゆらめく。そん光景を
蜂の巣の破片から連想した。
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土色の縞模様は古代からの色なのだろうか。築数ヶ月でこの住まいは終えてしまって入るのだろうが。軽く堅固の要塞のように見えて来る。ベンチレーションも完璧なように小さな窓が無数にある。雨の水滴は侵入できない程の窓なのだろう。
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漏斗のような渦のかたち素直なかたちです。渦のように作られた家何か自然の摂理を教えられた気になります。
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冬になって葉が落ちた樹の枝に小鳥の巣を見つけ見上げていました。子育てが無事終わり巣立っていった空き家の丸ごと覗かせてもらいました。細い紐状の白いビニール袋の材料と、棕櫚の木の細い素材から作られた家。ドーム状に渦巻き状に組み立てられ樹の枝にはビニールの柱のようなジョイントが7箇所程。北京オリンピックのスタジアムを思い浮かべてしまいました。
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カラスの巣は針金や鏡やハンガー等光り物の人工素材が使われているそうです。素材は近場から収集するんで土地柄も反影するんでしょうか。
バラックという言葉も死語になりました。蜂の巣と鳥の巣と今年であったちいさな家からのお話です。
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コメント 6

lamer

縄文人の龍神崇拝を思わせるイメージですね。
自分も縄文人の土器を連想しました。
by lamer (2012-08-22 15:10) 

ぜふ

コガタスズメバチの巣かもしれませんね。
正確には巣を覆う外壁のようなものですね。まさに”土壁”です。
大地から立ち上がるのとは逆で、木などからぶら下がる壁ですが・・
by ぜふ (2012-08-23 06:39) 

Silvermac

蜂の巣への警戒は怠りません。
by Silvermac (2012-08-23 08:25) 

SILENT

lamerさま
人間も蜂も自然の摂理、地球の回転や、雨風、気温の変化に対応して生きている証でしょうね。
ぜふさま
ありがとうございます。ネットの画像ではコガタスズメバチの初期の巣で間違いないようです。木からぶら下がる巣は、ガウディのサグラダファミリアの設計模型を思い出しました。
Silvermacさま
三十年程前にコガタスズメバチに指を指されました。二回目に挿されると非常に危険だそうです。やたらに巣は駆除しません。画像の巣も公園の山茶花の生け垣に巣を見つけた人が駆除したようです。
by SILENT (2012-08-23 10:22) 

tree2

もっと小さな巣を作るトックリバチの巣を、窯で焼いてみた人が人がいました。
ちゃんと小さな陶器の壺ができたそうです。
by tree2 (2012-08-23 11:09) 

SILENT

徳利蜂の巣を見て人間は、徳利を焼き始めているのかもす入れませんね。いいかたちだし、口がしっかり出来てますね。結構厚みもあるし、土も吟味されていそうです
by SILENT (2012-08-23 11:16) 

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