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十一月十四日 [願い]

塔ノ沢駅.jpg
昨日の午前中は箱根塔ノ沢にいた。箱根登山鉄道の塔ノ沢駅はトンネルに挟まれた本のわずかの空間にプラットホームがある無人駅だ。迫り来る山の中腹には阿弥陀寺がある。
山に囲まれ駅前も深い渓谷の上にある。森林浴をしながら山道を阿弥陀寺の山道方面に向かう。駅前の古木の紅葉軍は十一月の終わりころに紅葉が最高になるという。観光客のカップルが一組だけ降りて山道を下って行った。



            赤い電車の灯が隧道に冬運ぶ    むおん


福住楼.jpg
山道から国道1号線の車の音が上がってくる。見下ろすと塔ノ沢の元湯という老舗旅館の銅ぶきの屋根。水戸光圀公や伊藤博文や勝海舟も訪れた宿で、阿弥陀寺に位牌がある皇女和宮様が亡くなった宿でもあるという。今は塔ノ沢環翠楼旅館として創業400年の歴史を刻むという。かっては湯湯治客しか留めず一泊などはできない時代もあったという。同旅館のHPから、明治10年(1877)静寛院宮 和宮様が病気療養のため環翠楼へ登楼。環翠楼に村の子供達を招き菓子などふるまわれ村人と親交を深められる。同年当館にて身罷られた。 明治10年(1877)アメリカのエジソンが蓄音機を発明。
明治13年(1880)篤姫が和宮終焉の地となった環翠楼に行きたいと登楼。流れる早川を眺めながら号泣されたと言われている。

「君が齢 とどめかねたる 早川の 水の流れも うらめしきかな」環翠楼で、その時の心情を句にされ残されています。 と云う。





阿弥陀寺.jpg
急な山道を登ること30分杉並木を抜け、阿弥陀寺に着く。250年前に塔ノ峰の反対側の集落久野にあった庄屋の家を移築して阿弥陀寺は現在にあるという。その巨大な幅二尺(60センチ)以上はありそうな大黒柱が見事だ。阿弥陀寺の大黒さまのお話では建物は地震の際山の斜面に寄りかかるように、山側に倒れるように建てられ、巨大な大黒柱も塔ノ峰を越えて山頂から引き摺り下ろされたのだろうという。250年前のその光景を思い浮かべると凄まじい人々の願いと、移築の光景が目に浮かんできた。諏訪の御柱祭のような晴れの舞台でもあったのだろう。そもそも寺は修行僧の籠った奥の院が今から600年前から始まっていたようで歴史は深い。寺の信者たちが寄進したという江戸時代のものだあろう百万遍念仏を唱える巨大な数珠の回る装置が珍しい。寺には阿弥陀様をはじめ、皇女和宮様が徳川14代将軍のために祈ったという、家康が戦場にも運んだという黒本尊阿弥陀仏も貴重な拝観ができた。








        阿弥陀寺の石仏の願い秋深し    むおん








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