今朝は雨の裏山に、桜の花を見に出かけた。春雨に煙る山、霧のような白いベールが風に乗って山を登っていく。深山渓谷に迷い込んだような別世界。
灯火をあちこちに見つけると、桜の老木が山の中にある。一年に一度おのが姿の存在を知らせるように、明るく白く輝いて滲む姿がある。
今朝もまた山あちこちの桜花 無音
ひっそりと花を灯せし山桜 今日をかぎりと吾を見る
華の精青山の奥で花の宴 むおん
もみじ山に登り、もみじ沢を降りてくる
安田善次郎翁の別荘だった姥が懐の地に立つ、持仏堂と満開の桜。奈良の藤原京の面影をこの地に育てた光景、作者は安田靫彦画伯。校倉の堂が雨に煙っていた。