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6月08日 [人]

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珊瑚草の花が咲いた。南国イメージが強い。

数年前に30代を過ぎた長男が、ポツリと言った言葉が気になる。
「お父さん、中国の知らない街へ二人で行って、お父さんを置き去りにして見たい」という欲望があるんだと彼は言った。何故と其の時聞かなかった。

北海道で7歳の少年が、親にお仕置きだと言われ山中に残され1週間を経て無事発見された事件を思い出した。誰か1日歩いた少年が発見場所にいるのではという推測を立てなかったのだろうか。多勢の捜索者がしらみつぶしに歩いた山中から発見されると思っていたが、少年の心理になれば親を探すことにだけ集中して歩いたのだろうか。

長男に昔子供時代に何か、お仕置きで何処かへ置き去りにするよと言ったようなことがあるのかと考えた。彼が小学5年生の頃家族で出かけた山の河原でのキャンプで、一人で山に入った長男が3時間ほどみんなで手分けして探したが、見つからず最後に林道を尾根の方面へ上がると、山で拾った鹿の角を手にして林道を歩いてきた長男に出会えた。

その後彼は大学を留年して十代の後半にインドを一年間放浪した。インドの見知らぬ街へ、自分と同じように父親にも体験させようと、ふと思ったのかもしれない。日本人に出会うのが嫌で一切日本人には一年間口をきかなかったという。鹿の角の延長線でインドがあるのかもしれない。

若き日の体験は、人生に大きな影響以上の何物かを与えると今思う。それが何かの引き金になるのは、自分次第なのだろう。見知らぬ街に息子に置き去りにされた自分はどうするか、今も困惑の話だ。
彼は親離れのために、こんなことを考えたのだろうか。いつか機会があったらそのわけをそっと聞いてみたい。

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       天幕の裏走り抜け鳩夏へ  ムオン






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