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10月03日 [写真]

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10月1日は都民の日、あちこちで入場が無料になる催しがあった。同時に中国の国慶節の時期、都内の人出を覚悟しながら、恵比寿にある都立写真美術館を覗いてきた。開館して20年位だが今年9月に大幅にリニュアルして新たに特別企画展「杉本博司 ロストヒューマン」展を開催していた。
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最近この閉じ方だと180度図録を開けるので心地よい。糸で閉じたものを何層にも重ね、古くからある古典的な趣も感じる装丁だ。
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20代でニューヨークで写真活動を始めた、写真家の仕事を見たくて会場を散策した。人類と文明の終焉というテーマは重い。会場内の使い古した大きな波板のトタンの壁が、何か戦後のバラック建築の空間に入り込んだようで凄い。錆びたトタンフェチの自分としては嬉しいのだが、気が重くなる部屋のように仕切られたトタン張りの空間に重い空気が張り詰める。紙切れに書かれた遺書めいたものが全て違う筆跡で各展示にそっとおかれている。

今日世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない

写真家は、私は言葉が語る情報より、ものが語りかけてくる気配により耳を語りかけてくるようになった。何故ならモノは嘘をつかないからだ。
石器時代の磨製石器から、現代のチップまで、モノは何かを私に語りかけてくる。私はいわばモノの語りかけてくる声を聞くことによって、人類史を再読してみたいと思った。


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新作の廃墟劇場が素晴らしい。アメリカの国民たちが建国以来映画館をここまで見事に作り上げ、それが廃墟になる時間を思う。

廃墟になっても国土の広いアメリカはそのまま劇場が残っているのだろう。

上映時間2時間の映画を新たに、スクリーンを張ってその時間のスクリーンの光だけで撮影をしてフィルム写真の作品を作られたのだという。

映画は2時間で約17万枚のカットからできていると言う。その17万枚の写真を撮ることを夢想してシャッターを切ったという。
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2時間の長時間露光が捉えた大型カメラによる作品。展示の床には上映された作品のタイトルと内容が記されていた。
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白いスクリーンが発光するようにせまってくる。多くの観客のさんざめきと重なる廃墟の劇場、それを見る現代の人々。

まだ世界は死んではいない
まだ明日世界はあるのだろうか

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アメリカの象徴キャンベルトマトスープの缶の方がアンディウオーフォールの作品の高くなる未来がといった比喩のコメントもあり、缶も輝く。


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