五月六日 [水]
大正14年湘南大磯で、春鰤大漁毎朝4000〜5000尾。
昭和64年の今日、大磯の自動車修理工場の柴山さん(72歳)、手作り自動車完成。ダイハツ550CCエンジン、車は1930年代の外車と国産車の組み合わせ、ボディはロールスロイス。
ボンネットはパッカードの折りたたみ式、トランクはダットサン、フェンダーは前がピアサロン、後ろがシボレーという出で立ち、手間賃を計算すると当時で700万くらいとか。
真上から見たコナラの葉の姿。ドングリの実も小さく隠れているのだろうか。
昭和64年の今日、大磯の自動車修理工場の柴山さん(72歳)、手作り自動車完成。ダイハツ550CCエンジン、車は1930年代の外車と国産車の組み合わせ、ボディはロールスロイス。
ボンネットはパッカードの折りたたみ式、トランクはダットサン、フェンダーは前がピアサロン、後ろがシボレーという出で立ち、手間賃を計算すると当時で700万くらいとか。
真上から見たコナラの葉の姿。ドングリの実も小さく隠れているのだろうか。
二月四日 [水]
水中都市 [水]
余韻嫋嫋 [水]
箱根湖尻峠迄行き、峠から山道を五百m程、芦ノ湖側に下り、深良水門を見た。
湖水の水が、水門に吸い込まれていく姿は、緑の宝石を溶かし込んだように不気味で美しすぎる光景だ。
ゆらめく水面はダリのシュルリアリズムの絵画の様に、一皮も二皮も捲れてしまいそうな気配だ。
星形なの閃光が揺れている。湖水の水は三島方面へと引かれているようだ。芦ノ湖の水の権利は三島方面が昔から強かったと箱根の方に聞かされたことを思いだす。悠久の歴史も水門に引き込まれていることなのだろう。
水門の近くに古びて朽ち果てた桟橋の姿。水上スキーや釣り人の舟、大きな観光船が湖の彼方に見える。湖の北側は、桃源郷の様に静か。彼岸と此岸のように。昨日迄いた日常は彼岸の様にも思える不思議。
道という字は、首をぶら下げまだ見ぬ先を、ゆくためのかたちから作られたと云う。古代中国の道なき道をおもう。
無数の森の精霊達が、ちいさなちいさな叫びをあげている
濃い緑の補色は、濃い血の色だと森の中で知る。
森の闇の深さがいのちを際立たせる
ちいさな蕾に、よる虫の命の羽根の音迄きこえそうな、森の影
数十分後、峠への道を引き返し、石畳の道を昇り始める
さまざまな緑のいのちの色に、余韻嫋々 箱根路のひとこまから
胡蝶之夢 [水]
胡蝶之夢 机上に邯鄲の面が掛けてある。邯鄲の夢と、胡蝶の夢はどう違うのだろうか。
人生夢幻の如く也、この言葉は好きだが、夢と現実はかけ離れている。幻も此の世にないが体験する人々は多い。幻の様だったとは脳が感じる世界なのだろうか。最近美しい蝶を見た。
優雅に舞う姿は幻か夢の中の様な世界だった。
蝶はぬめりのある下水の様な汚い水辺に舞っていた。
蝶が夢で、下水は現実の世界だった。ヘドロの様な水辺と黒地に鮮やかな緑と青の鱗粉が煌めく。
羽根を閉じると全身が黒一色で覆われる。ネットで蝶の名を検索した。カラスアゲハ又はミヤマカラスアゲハと出た。両者の識別は難しいらしい。優雅に舞っているときは緑と青の諧調が発光する様に美しい。停まりかけて羽根を閉じるとカラスの様に黒いシルエットになる。生まれて初めて見た蝶だ。鎌倉蝶々や、ナガサキアゲハは何度か対面した。ミヤマカラスアゲハのミヤマは深山を意味するらしい。
今住む町の東側に高麗山という山がある。東海道の平塚側の花水橋附近からこの山を眺めると、綺麗なお尻のかたちが海に向かい潜り込んでいる様な優美な姿の山に見える。南の相模湾からこの山を眺めると漢字の「山」の字の様に小高い中央の山を挟み東西に低い峰が二つ並ぶ。中央の高い峰を高麗山、東側の峰を東天昇、西側の峰を八俵山と呼ぶらしい。平塚側から見ると、東天昇を手前に奥の高麗山の二つの峰が見えるのだが、手前にある東天昇が大きく見え、奥の高麗山と同じ高さに見え、その二つがお尻の様に見えるのが不思議だ。遠近法のなせる技か。
平塚側を北に行った道から眺めると、東天昇だけが大きく富士山の三角形の様に見えるのも面白い。北側から見ると山の形はなだらかな丘陵の姿に変貌する。山の形とは不思議なものだ。東西南北何処からも同じ様なかたちに見える富士山とは軌跡に近い山なのだろうと今更ながらに想う。
古墳時代の頃、海上を高麗山と名ずけられる前に、高麗からの人々が上陸して山の麓に住んだそうだ。海上からの目印になる様な特徴のある山だったのだろう。アオバトも丹沢の山からこの大磯丘陵の山の姿を目印に飛行してくるようだ。蝶も山を超える時、峠附近等蝶の道があるそうだ。無数に引かれた空の上の、鳥の道や、蝶の道を頭に描いてみる。
毎年漬け込む南高梅の梅を水中に放つと、銀の膜が梅の身体を覆った。銀の滴も美しい。
今年も良い梅干しとなってくれます様に。水中の姿を眺める。
梅の香を放ちみなもに眠る実等 SILENT
人生夢幻の如く也、この言葉は好きだが、夢と現実はかけ離れている。幻も此の世にないが体験する人々は多い。幻の様だったとは脳が感じる世界なのだろうか。最近美しい蝶を見た。
優雅に舞う姿は幻か夢の中の様な世界だった。
蝶はぬめりのある下水の様な汚い水辺に舞っていた。
蝶が夢で、下水は現実の世界だった。ヘドロの様な水辺と黒地に鮮やかな緑と青の鱗粉が煌めく。
羽根を閉じると全身が黒一色で覆われる。ネットで蝶の名を検索した。カラスアゲハ又はミヤマカラスアゲハと出た。両者の識別は難しいらしい。優雅に舞っているときは緑と青の諧調が発光する様に美しい。停まりかけて羽根を閉じるとカラスの様に黒いシルエットになる。生まれて初めて見た蝶だ。鎌倉蝶々や、ナガサキアゲハは何度か対面した。ミヤマカラスアゲハのミヤマは深山を意味するらしい。
今住む町の東側に高麗山という山がある。東海道の平塚側の花水橋附近からこの山を眺めると、綺麗なお尻のかたちが海に向かい潜り込んでいる様な優美な姿の山に見える。南の相模湾からこの山を眺めると漢字の「山」の字の様に小高い中央の山を挟み東西に低い峰が二つ並ぶ。中央の高い峰を高麗山、東側の峰を東天昇、西側の峰を八俵山と呼ぶらしい。平塚側から見ると、東天昇を手前に奥の高麗山の二つの峰が見えるのだが、手前にある東天昇が大きく見え、奥の高麗山と同じ高さに見え、その二つがお尻の様に見えるのが不思議だ。遠近法のなせる技か。
平塚側を北に行った道から眺めると、東天昇だけが大きく富士山の三角形の様に見えるのも面白い。北側から見ると山の形はなだらかな丘陵の姿に変貌する。山の形とは不思議なものだ。東西南北何処からも同じ様なかたちに見える富士山とは軌跡に近い山なのだろうと今更ながらに想う。
古墳時代の頃、海上を高麗山と名ずけられる前に、高麗からの人々が上陸して山の麓に住んだそうだ。海上からの目印になる様な特徴のある山だったのだろう。アオバトも丹沢の山からこの大磯丘陵の山の姿を目印に飛行してくるようだ。蝶も山を超える時、峠附近等蝶の道があるそうだ。無数に引かれた空の上の、鳥の道や、蝶の道を頭に描いてみる。
毎年漬け込む南高梅の梅を水中に放つと、銀の膜が梅の身体を覆った。銀の滴も美しい。
今年も良い梅干しとなってくれます様に。水中の姿を眺める。
梅の香を放ちみなもに眠る実等 SILENT
2000 [水]
西暦2000年、21世紀に入ってからのことだろうか。世の中はパスワードだらけの世界になった。ある地方都市の銀行でキャッシュカードを作った。その当時驚く事にパスワードを書いた紙を、銀行の窓口の銀行員に渡してくれということがあった。不審に思ったが書いた紙を渡すとカードはその場で渡された。後日ATMでカードを使用するとエラーが出る。三回目のエラーでカードは使えなくなった。窓口にクレームを言うと、打ち込まれたパスワードが銀行員のミスで違っていた。こんな事があるのだろうか。おまけに再発行で発行費が発生するという。憤慨した。銀行の態度は横柄だった。その時代遅れの銀行とは取引しないことにした。
いつの頃からか小型のパスワード入力を自分自身でする端末が金融機関でも普及し始めた。パスワードの桁数が大きくなっていったのもその頃からだろうか。
ネット社会でもパスワードとメールアドレスの組み合わせによる認証は、当たり前になった。
パスワードを忘れたときのヒントも結構面白い。「あなたの一番好きな食べ物は」「あなたの母親の名は」好きな食べ物は沢山あり、一番は常に変わる。母親の名は義理の母と、産みの母と二人いる。おまけに漢字で表記かひらがな表記か結構な組み合わせがある。パスワードのパスワードなる二重構造のパスワードも出てきた。
世界はパスワードでしか開けなくなってきた。
楽園へのパスワードも時々忘れる。嬉しい事に忘れたときのが別の楽園を開ける鍵が浮かぶときがある。楽園への鍵は一通りではなく多様なのだ。
現世でもその度にパスワードが変わるプログラムもあるようだ。
世界を開くパスワード、あなたは幾つお持ちですか。
楽園への蕾と実のある光景
楽園に浮かぶ花弁は、深い闇の池に漂う。闇は天空を支配するのか、水中を支配するのか。
蓮の舟黄泉の扉のぱすわーど SILENT
白雨 [水]
富士 [水]
先日箱根を超えて富士の山麓をドライブした
箱根新道を通り箱根峠辺りで霧となった。
白糸の滝の駐車料金は三百円、現代アートのような看板が妙に投げやりな字で楽しい。
涼を求めて瀧見物の車は多い。
茶店か喫茶コーナーもオープン。
富士のやまは見えなかったが、白糸の滝は見事に見えた。
瀧周辺は富士宮を震源とした地震のせいで崖崩れが多かった。
瀧に落ち込む落石もその場にいたら凄い衝撃であったろうと思われる岩があった。
糸のように流れる瀧は繊細な涼感が溢れていた。
赤富士が土産物店で売られている。蛍光オレンジの富士は発光している。
達磨の朱と同じ印象の赤だ。
富士の山達磨となりし朱夏に立つ
白糸の滝から北へ脚を伸ばし
田貫湖へ
ダイアモンド富士で有名な湖畔は静か
湖畔の案内板の富士を撮る
さぞダイアモンドが見れる頃は
カメラマンが大勢訪れるのだろう
最後は白糸の滝とならぶ、音止めの瀧。落差25mの壮観な瀧だ。
瀧の音は轟音を立てているが、一瞬無音になり時間が泊まったような気がする時がある。
高速で移動する新幹線車内や、ジェット機の中でも時間が止まっているように思える時がある。これは何か訳があるのだろう。瀧を正面から見据えていると落下する瀧が反転して上昇を始める感覚を味わう事もある。止まった電車の隣りの電車が動き出すと自分の乗った止まった電車が動いているように感じる錯覚と同じなのだろうか。
「吾動かずとも瀧は上昇夏の上」