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五月三十一日 [鳥]

アオバトを見に海岸へ出かけた。湘南大磯の照が崎海岸は、野鳥観察や撮影のため海岸に陣取る人々の姿があった。舞台のかぶりつきのように見ている、大きな大砲のレンズを抱えた叔母さん叔父さんが何か悲しく見えてくる。鳥たちがそんな貪欲な人間たちの頭上を命がけで海水吸引して、山に帰っていく。そんな地上の人間の一人なのだが、鳥たちの姿は美しい。
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五月十九日 [鳥]

アオバトの群れを捉えた。愛宕山の上空を丹沢方面へ帰還の群れ。アオバトの地上からの識別は体が白っぽく羽の裏が濃い色で見分けられるという。家鳩の体は黒く、羽の裏が白いのだそうです。800ミリ換算の望遠レンズで、手振れが出た画像ですが画面いっぱいに飛ぶ姿は感激です。
雨模様の霧が出ているであろう丹沢の山地から、海まで飛行する彼らの姿です。波が高いと岩場で海水吸引する間に飲み込まれ命を落とす鳩も多いのだそうです。命がけの海水吸引、何の為かは、謎だそうです。鳩たちにも判っていないのかもしれません。六月には産卵の時期を迎え、雄雌は森の巣で交代で卵を抱きながら、海までやってくるのだそうです。
人間も命がけで、食事をするという行為の時代があったのかと、ふと思いました。
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昭和5年(1930)5月19日照が崎海水浴場への給水計画。大磯小学校校庭に井戸試掘成功、今夏に大井戸を掘削。愛宕山上畜水池へ送水し、照が崎へ給水。

愛宕山は現在のエリザベスサンダースホームのある旧岩崎弥之助別荘敷地内の山。明治時代に山頂にあった愛宕神社は西側に転座されたのだろうか。サンダースホーム敷地内の山稜にレンガの大きな貯水槽の遺構があり、これが照が崎へも給水された畜水池のような気がする。
このことは空からこの山の歴史を見てきたアオバト達の先祖がよく知っているのだろう。
アオバト達が海水を飲みにやってくるのを、人間達が意識した記録は大正時代くらいからのことらしい。それ以前は地元の漁師に人たちも磯でフナムシを食べているのだろう位のことだったという。

五月八日 [鳥]

太太し蚊の一撃に夏来る  さいれんと

蠅の王見かけぬ街の生と死と 無音

カラス白ければ心地よき春も又 むおん

だんごむし少女の初夏の掌のうちに ムオン

小鳥鳴く夏来りなば山近く  silent

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カラスという鳥は、神の使者として、何かを伝え来る存在だった時期もあるのだが、その黒い艶のある姿と、大きな嘴が神秘を誘ったのかもしれない。あの大きな鳴き声も何か予言めいて聞こえてくるときもある。その飛ぶ姿と風を切って飛ぶ姿を最近は優雅に眺められる気になった。ヒッチコックの「鳥」ではラブバードから、ジャングルジムの上の鴉、港を見下ろすカモメの群れと、いろいろな鳥が描かれていた。彼らが一斉に反乱を起こしたら恐ろしい。
あの大きく広げた黒い羽は、なんと見事なのだろうと感心するが、恐怖をも覚える。
霊鳥という姿は、山にこそ似合うのだろうか。真夏が近づき、最近は蠅が見かけなくなったと思う。団子虫も随分見ていない。鴉は毎日我が家周辺も見かける存在。

昭和9年湘南瀬の海愛護のため、夜焚き網撤廃。篝火やサーチライトで魚を捕獲した漁のことだろうか。愛護とは漁獲のとりすぎを規制のためだったのだろうか。何か灯火管制という時代を連想してしまった。此の町の正月行事、どんど焼きの左義長の火は、対岸の大島でもよく見えるという。

昭和11年鰤5000尾の大漁、一尾一円七十銭で仕切り。
此の年の平均賃金(日給)は、大工が一円九十九銭、左官二円二十銭、紡績女工七十三銭という。シネマは30銭、ラジオ聴取料五十銭というのが面白い。日当で鰤一尾。

鰤の目に鴉の神託夏が行く

緑鳩観察 [鳥]

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十月に入っても今年はまだまだ暑い。サンダースホームの森からアオバト達が一斉に飛び立ち、海岸の様子を旋回しながらやってくる。今朝は台風の影響か晴れていても波が高い。岩場に降りようとするアオバトめがけ波しぶきが上がる。
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何度も着地を試みるがうまく岩場に降りれず、上空を旋回する。望遠レンズの視界に、富士の稜線や、伊豆の山々、町の瓦屋根や、水平線がめまぐるしく展開する。手持ちで1000ミリの望遠は手振れもいいとこ流し撮りで攻める。
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レフレックスレンズの水玉を波頭の逆光に合わせる。水玉の乱舞
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肩の部分の小豆色が雄のアオバト、雌は小豆のカラーが無いようだ。滑空体制に入り滑る様に水面と平行に飛行する。
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うまく着地した岩には、アオバトのコップと呼ばれる無数の穴が空いて、小さなコップに海水が貯まっている。R0115594.jpg
波が一瞬で押し寄せてくる
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白い飛沫の中にアオバトのかたちが消えるとどきっとする。ダメージを受け飛べなくなる彼等は見たくない。
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彼等を観察しようと渚で待ち構える、人間という生物の高価な機械群。観察するのはアオバト達で、人間は彼等に観察されているのかも知れない。何故なら彼等は命がけで彼等に危害を与えるものを観察し、命がけで海水を飲むというのだから。並の観察は人間のが負けるだろうと鳥達を見ていて思った。
この町に住んでようやく十年、やっとこさアオバトにも接近できた。
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帰りがけ一羽の人なつこい野鳥が近づいてきた。まだ成鳥でもないようだが、ヒヨドリとは違う。磯ヒヨドリの雌だろうか。名は判らない。
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北浜海岸ではパドルサーフィンとサーファーが波と戯れていた。
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うみねこ [鳥]

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青森県八戸港にて
海猫はかなりのマイペースで飛んでいた
それは人間が少ないからか
海が近いからか
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海猫と鴎の見分け方はその脚の色にあると 陸奥湊の人が教えてくれた。
海猫はイワシが大好物だと言う。
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陸奥湊にておじさんが魚の肉をさばいて外に出ると、海猫たちが屋根の上でそわそわし始めた。肉を持っておじさんが座ると屋根の上から海猫たちが舞い降りて来る。
茶色の羽根の海猫は一年以内に生まれた若鳥だと言う。親たちの色とはかなり違う。人間も成人式まで大人未満は親の姿と違うと言う表面的な違いがあれば面白いのになと思う。海猫たちの肉のご相伴は若い茶羽根の海猫たちには分が悪い。若者としての遠慮と強い親たちの怖さからひいているのかなかなか餌にありつけない。
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市場は早朝からの疲れからか午前十時では眠るおばさんたちもいた。「いさばのかっちゃ」は市場の母さんたちと言う意味だろうか。
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その市場の二階のおばあさんに「何しに見えたのか」と聞かれた。それに答えている間もなく、「地震は今もしょっちゅうあるよ」と呟かれた言葉が何故か心に引っかかった。
今も思い描くのは上空を飛ぶ海猫や鴎の群れ。映画ヒッチコックの「鳥」では鴎たちが俯瞰する港のガソリンスタンドでスタンドが燃えだすシーンをふと思いだした。鳥たちも3.11以後変化はないのか。即発的に人を襲う鳥たちへ変貌することがいつ起こってもおかしくない様な。あの日3.11.海鳥たちが飛びかうテレビの画面が脳裏から離れない。市場のおじさんはこんなことも言っていた。鴎たちは海猫を襲う。最悪海猫は鴎たちに食べられる。弱肉強食の世界の掟なのか。

メジロ [鳥]

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大きくなってきた白もくれんの枝に、メジロがやってきた
鮮やかな鶯色に目の廻りが白いので目白と直ぐわかる。
機敏な動きは心地よい。
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シジュウカラはモノトーンのイメージが強いが背中の緑が絶妙なバランスである。
鳥たちの配色は自然界の花と同様華やかで見事だ。
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華やかな雄の色が美しく両羽根の白の紋が小粋な此の鳥の名はわからない。雄と雌とで配色も仕様もかえるので尚更鳥の名はむずかしい。
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アカハラ、ジョウビタキ、あなたはだーれ。
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赤いお腹のオレンジとも茶ともつかない微妙なあか、アカハラ君であろうか。
シロハラ、ホオジロ、メジロ、アオサギ、身体の色で呼ばれる鳥は多い。
識別に色は一番なのだろう。顔や羽根で個体を見分けられたら一人前のバードウオッチャーなのだろうが。生きている鳥の動きに感動するのが精一杯。
我が家上空を滑空するアオサギは風を見事に読んでいた。
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