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偽卵 [かたち]

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ガラス製の偽卵だそうで、珍しいものを手に入れた。
半透明のガラスの鈍い輝きが、産みたての湯気が出ている卵だといった趣を感じさせる。
20年程前に佐渡島の相原という集落で、瀬戸物製の疑似卵を二つ手に入れたことがある。
その卵はずっしりとした重みと乾いた青白さがしていて、卵の殻の乾いた感触が今でも妙に覚えている。その卵は佐渡島でお世話になった御夫婦の方への家つととなった。家つととはお土産の事だそうである。藁納豆の藁つとも同じ つとなのだろうか?
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瀬戸製の疑似卵は御夫妻が飼育していた鶏やチャボの仲間となった。否実用的な道具として、鶏一家の温め卵となったのだ。卵を几帳面に毎日生んだ鶏はその疑似卵を大事に温めていたそうだ。
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ある日こつ然とその偽卵が消えたと、後に御夫妻からの手紙で知った。一つは鶏小屋で、もう一つは庭の柿の木の下の藁を敷いた木箱の中からこつ然と消えていたという。
手紙ではその偽卵を盗んだ奴の正体が暴かれていた。
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近くに大きなアオダイショウが身体を重そうに横たわっていたそうなのだ。夫婦はさっそくこいつの腹を探ったそうだ。長い腹の中で二つの卵が確かに収納されているのを確かめた夫婦はいやがるアオダイショウから、大事な疑似卵を取り返すべく格闘したそうだ。最終的には無事二個を取り戻したという。嫌がる蛇と御夫妻の格闘何か目にみえるようで驚いた。
島の金物屋で求めた疑似卵の値段以上の愛着精神が卵の奪還にあったのだろうか。
そそっかしくも偽卵二個も食したアオダイショウが気の毒でならない。
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最近の疑似卵はオカメインコや、ペットの鳥の偽卵から始まって、シロアリの偽卵まであるようだ。人間と自然とのだましあいは続く。
春の日に偽札で偽卵買う偽坊主 彩漣徒
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今年も赤いモミジの赤ちゃんの飛行シーズンが始まった。
空をかけるタンポポの綿毛や モミジの赤トンボ 新緑の森の上を
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ぼんぼちぼちぼち

偽卵 あっしもひとつ欲しいでやす\(◎o◎)/
英字新聞を切ってこさえた巣に入れて飾りたいでやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-20 19:34) 

海を渡る

こんばんは。
偽卵、騙し合いの世界は面白いですね。
アオダイショウが何ともかわいそうですね。

by 海を渡る (2011-05-20 20:11) 

Silvermac

卵を取り戻したご夫婦はスゴイですね。
by Silvermac (2011-05-20 21:39) 

駅員3

インテリアではなく、実用品として作られた事にビックリ[ひらめき]
最初の写真を拝見して、本当に産みたてのように見えました[exclamation×2]
by 駅員3 (2011-05-20 21:43) 

青の風画

何とも面白い話ですね。
やっぱり気の毒なのは青大将ですね。
我々人間もどこかで似たようなことを
しているのでしょうね。
by 青の風画 (2011-05-20 23:05) 

寂光

佐渡島の卵と言えば、
近年朱鷺に関する様々なニュースを耳にして心が痛みます。
自分の卵を温め、育てる本能を失ったのではないかと思います。
人間に飼われ過保護になった朱鷺を、
今更自然に返すなどという行為は人間の勝手ではないかとも思います。
専門家ではないので迂闊に物は言えませんが、
これまでの朱鷺の飼育については何だか釈然としない感を抱いています。
by 寂光 (2011-05-21 04:58) 

mee

ここで見るタンポポ?の綿毛がめちゃくちゃでっかいんですっ!!
by mee (2011-05-21 10:58) 

sig

こんにちは。
偽鳥の巣のつくりがとてもいいですね。
ヘビが本物と間違うというのは、重さも本物程度なのでしょうか。ヘビがとてもかわいそうですが、昔はこらしめとお仕置きの意味もあったのでしょうか。
by sig (2011-05-23 16:07) 

みなみ

訪問そしてnice!をありがとうございました。
by みなみ (2011-05-23 21:50) 

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