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12月15日 [かたち]

「感性って何ですか?」ある大型量販店のバイヤーに問われたことがある。
彼は店でも超優秀なバイヤーで、仕入れる際に必ず効率よく店の顧客に、絶対売れるものを提案してくれと、絶えずいってきた。彼は銀座の一流店で今売れているもの、地方のあるコンビニで一番売れているものの、両方のデータを重視した。データに現れないものが感性の領域だつたのだ。彼の問いが十数年後の今も耳に残っている。

感性って何ですか?


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11月30日 [かたち]

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農具一覧 平塚博物館監修
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先日の図書館の古書放出市で、農具の明治時代の本を貰ってきた。
久しぶりにページを開くと、「蚕網」という面白いものがあった。蚕児の糞を除去するのに用ゆ とある。
一枚の重量、二十匁とある。一枚平均代金五銭くらいとあり、明治時代の三八年頃のものの記録だ。毎年渋に浸し五年から七年の使用をするという。そんな網を数年前古道具屋で十枚ほど求めた。一枚100円程だった。
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何に使う網かは判らなかったのだが、本には、老若男女の区別なく二人を要し一時間に百枚の蚕糞を除去するを得る とある。

養蚕が日本の主要輸出産業を担っていた時代を思い出します。それから百年以上の時が流れ、絹という素材も人工繊維の世界に変わっていることを何か懐かしく思えます。

今その網で短冊を吊るして壁にかけ、楽しんでいます。
初代中村吉右衛門の揮毫した「時は今天が下なる皐月かな」の句が
雄渾たくましく思えます。明智光秀の評価も時代によって変わりました。
安倍さんの評価も、あと百年したらどう評価されるのでしょうか。
経済外交のみに世界を馳け廻る姿が、何故か悲しく思える今日この頃です。

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裏山の秋の宴を盆に盛る むおん



11月12日 [かたち]

ミニチュア療法とか、箱庭療法とかを聞いたことがある。
世界のサイズは、生命の個体によって違う。巨大な生命には、人間は小さく見える。
蟻から見たら人間は巨大な生き物。

箱庭に、人は、何を見るのか?

秦の始皇帝は、一分の一の地図を作らせようとしたが、現代人はミクロからマクロ迄、自在の地図を持つ。

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新潟の作家が焼いた、陶器の古屋。ブリキの質感が再現されて面白い。

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雨のタンクを抱えた雨神、風神雷神は聞くが。雨のタンクの重さに耐え兼ね地上に降りてきてしまったのか。
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納屋のような小屋が好き。
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見下ろす屋根に秋の雲影 むおん

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10月26日 [かたち]

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土地の産物館や、畑の近くの無人販売所を覗くのが好きです。
たまに二股の大根や人参、曲がった胡瓜、虫喰いのあるナスなどが売られていると、喜んで手にとります。スケッチや写真を撮るには最高のカタチだからです。
どんな環境で、育った野菜でしょうか。遺伝子や何かの作用で、不思議な形になったのでしょうか。


スーパーの店先や、デパートの地下食品売り場では絶対お目にかかれないカタチです。
何故なら、カワツタカタチノ野菜は出荷する前に選抜され廃棄されてしまうからですね。
作物の見た目の悪さで、出荷されない果実や野菜は、アメリカでは250億トンを毎年超すという。
繊細な感覚と、神経質なほど品質管理の厳しい日本では、想像以上の数字だろう。まっすぐ長さも太さも見場も揃った胡瓜、真っ白でそっくりなサイズの卵、プラスティックで出来たようなトマトや、ピーマンの山、まるで工場で作られたような食品達。

食の安全は大事だが、味が同じなら、カタチで物事を見る世の中、少し反省すべきと感じました、

アメリカ西海岸で「インパーフェクト」不完全というなの、見た目の悪い農作物を買い付けて、低価格で販売する会社があります。と、ナショナルジオグラフィック誌の、捨てないで食べちゃおう特集にありました。画像も同誌から

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10月18日 [かたち]

モノは、時間が経つと変わる。
心も考え方も変わる。
最近、過去も動いている という話を読んだ。
過去は不動のように思えるだけで、動いている。

それは今という視点から、動いているということだろうか?
歴史も動いている。過去という動かし難く見えたものが動いているということに感動する。


靖國に会津の戦士者の方々も合祀したらという話を聞いた。
誰が言い出し、其れは迷惑だと思う子孫、国とはなにか。
敵味方に分かれて戦った時代を思った。

世界が混血だらけになれば、平和がくるよ
と言った、混血児の老人を思い出した。

古びたものは、汚いだけなのか。新しいという事が、いつまで新しいままでいられるのか。

世の中はすべて、無常。常に変わっていく。

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秋の蚊に手のひらかざす仏の目 むおん


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秋雨に流れた時間指物師 むおん


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8月30日 [かたち]

朝畳みの上に、黒い点。いつものハエトリグモと思い指先を近づけるが反応が無い。
アニメ風の谷のナウシカに登場した、オームの子供だ。3ミリほどの球体は、光るスチールグレーの蛇腹の鎧いに覆われている。アルマジロ、センザンコウ、ハリネズミ、団子虫。
これらの球体は、思わず脚で蹴りたくなる。そこから蹴鞠やサッカーが生まれた。
そんなことは無いだろうが、兎に角絶妙な構造だ。

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愛用の蛇腹のカメラを出してみる、凡そ80年以上前に折り畳まれた蛇腹が、亀の首の様に伸びる。
デジカメに比べ何故愛着がわくのだろう。手の中で同化する工芸品。
団子虫の構造と、蛇腹カメラの構造。
どちらも変身は、好きなく見事。

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団子虫の様な、沖縄のパナリ焼きの展示会の案内状をもらった。コロンと転がりだす様な円い壺。
千葉の山の中は、少し遠いのですが、、、、

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芝居小屋木札もらって秋の音 むおん

勝手に芝居小屋の入場木札と思っているが、幽霊屋敷の小屋か、サーカスの木札かも知れない。
大人とあるからには、小人の木札もあったのだろうか。渇いた高い音が木札を打つと響く。

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拍子木と木札打つ音秋の空 むおん



8月26日 [かたち]

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無用の用というものだろうか
三味線の撥か


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三味線を弾くには必要なもの
弾かねば、ただのモノ


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美しい曲線は、用の美か
象牙ではない樹脂だろう


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素材が透けて見える先端の光のボケ具合は最高だ



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ただそこに在るだけで
何故か心が豊かになる

最近機械は心を持たない
という本を読んだ
人も本来心の存在はないというのが
その本にあった
時間も流れているのでなく、今の瞬間しかないという。


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  寝返りを三回の背に秋の風   無音



8月17日 [かたち]

小熊英二著 1968 (上)を読み始めた。今から半世紀程前、隣の国では文化大革命、南ではベトナム戦争、日本は高度成長の最中にあった。ベトナムに平和をと、ベ平連の小田実にも憧れた。
日本にもベトナムに派遣される、日本からの徴兵の不安があったと本にはある。
三池闘争から、安保闘争、学園闘争、様々な運動があり、現在へと繋がる。
田舎から都会へ、貧しさから豊かさへ、農業から工業へ、石炭から石油へ、今日の原点が半世紀前の時代のうねりの中にあった。
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1960年当時の代表的レジャーは、寝ジャーとも言う、ゴロ寝だつたという。
サンダル履きのベトナムの兵士が、最新鋭の装備の米軍兵士と互角以上に闘い、日本ではベトナム特需という政府をあげての戦争支持があった。
しかし、このベトナム戦争指示に対し、日本はアメリカの被害者の立場にたつが、同時にベトナムに対しては加害者の立場に立っている。日本はアメリカの命令に逆らえないという意味での被害者。

近代の戦争では、兵士よりも市民の死亡率が高いという。無差別に破壊活動を行った民族皆殺し作戦といったジェノサイドが始まったのもベトナム戦争からか。無人の攻撃ミサイルやゲーム感覚の戦争もこの頃からか。

日本は安全地帯から自分が、被害者であり加害者である存在に解決をみいだせないでいた。

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昨日100均ショップで、ベトナム製の手で編まれた商品を手に取りました。
手先の器用な人の指先で編まれた小さなカゴ。
日本迄の輸送コストに業者の利益などを差し引いて、作者の多分女性、それも比較的高齢な女性ではと想像しますが。彼女はどんな生活をベトナムでおくっているのでしょうか。以外と若い女性がスマホの2台目を買うために、作業しているのかも知れません。
百均では、手作りのアイテムがどんどん減っています。大量生産可能な樹脂製、アルミ製、プラスチック製の世界になっています。

手作りアイテムは貴重なものになっていくのでしょう。
この籠の編み目と作者の無心なかたち、美し過ぎると思うのです。
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大地割れ原始の夏生まれし朝


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椿市に戦の話夏つばき 無音









7月20日 [かたち]

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明治38年湘南大磯駅迄の二銭切符を、廃止したが毎年観光客目減り、切符以外に原因があるのかも。
二銭の運賃は何処から大磯迄のものだろうか。
夏休み向け特別料金だったのか。

昭和7年のこの日、天国浴衣生地、八重子帯を隣町の平塚飯島デパートで発売。
五月に大磯坂田山心中で全国有名になり、八重子女史に因んだ天国饅頭や、夫婦饅頭も売り出されたらしい。心中事件から1ヶ月で、天国に結ぶ恋という映画迄作られ、後追い心中も其の年絶えなかったという。

大地の下では蝉たちが、地上の出来事の気配の音や、振動、匂いを数十年も感じていた事だろう。
飴色の美しい鎧を、脚元に見つけた。
虫が嫌いな方は、この下の画像達目を閉じて下さい。


蝉の声坂田山にも夏盛り 無音



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夏の影飛び去りし後飴鎧 無音

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背を裂きて歩みし空は夏模様 無音




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笛太鼓蝉と青鳩耳の底 むおん




7月14日 [かたち]

市場で巨大なズッキーニを求めた。
30センチを超える見事さで、一本100円。
思わず手がスケッチを開始していた。

夏の生花は日持ちがしない。ゴロリと石皿の上のカボチャならぬ、ズッキーニの姿。


青光り皿の上なりズッキーニ ムオン




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昼寝して吾と並ぶはズッキーニ ムオン








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紙の上夏を彩るズッキーニ ムオン




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畳目の数より多し夏の星 ムオン

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青畳ズッキーニ様の横たわる ムオン




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