1950 [祭]
1950年頃、昭和25年頃の湘南は大磯の下町の「お船祭り」の一枚の写真。戦後間もなくの頃の活況を見ると、鰤が大量に捕れ下町の経済が潤っていた事を示すものなのだろうか。本来は七月の17−18日に行われた祭事も、近年では土日に合わせて行われるようになった。それにしても海岸に向かい祭り船を引き廻す人々の数の多さは凄い。白いシャツと赤銅色に日焼けした肌の色が目に浮かぶ光景だ。観覧者の白いレースの日傘も当時をしのばせる。麦わら帽子も数多くみえている。
遠く堤防の上にも人がいる。上部には岩場と海が写っている。砂浜は今はコンクリートで固められた埋め立てられた漁港の駐車場になっている。
2012年現在の小田原方面を望む、こゆるぎの浜。こちら側の光景は百年前とほぼ同じ光景。海岸線が潮の流れで浸食され狭くなってはいるが。
何かモノクロームの海岸線は多くの時代が重なって見える。
母と子の祭り、六十年前の夏の母子も出かけた祭り。
砂浜の上を歩んだ木の車も今は、アスファルトの下町の道を少しだけ移動する。電線をよけ幟を降ろし、操り人形も倒した状態で、電線を潜りぬける。
木札に奉納者の名と年号が書かれていた。墨の文字も鮮やかに揮毫した人の生は定かでないが、奉納された飾りは昨日造られたような針の目の跡があった。
ゆっくりと、千鳥が色褪せた藍の海を飛ぶ、風が強いのか千鳥は同じ位置から動かない。かってこの海には千鳥や鶴がいたのだろうか。小鳥の啼く今朝の夏の朝が、今年始めて聞いた蝉の声に変わった。
古くは伊勢迄水路があった名残の伊勢音頭も謡われる。
夏の闇に封印するように、今年も祭りは終わった。
2012年7月夏日
2012-07-18 10:43
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冒頭の写真にある「明神丸」は、当県に現存する鰹の1本釣り網元です。
by Silvermac (2012-07-18 21:42)