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1958 [料理]

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1958年頃だったのだろう。小学校の家庭科で料理を作る授業があった。
男女共学の町立の小学校は、屋根がスレート瓦だった。校舎の裏側には滑り落ちたスレートの破片が沢山落ちていた。それを拾って砥石で研いで刃物まがいのものを造った記憶がある。料理は目玉焼きだった。目玉焼きには黄味の部分にスプーンで少し水を真上から垂らすと、黄味が濁らずにクリアー黄色い目玉焼きが出来ると教わったことを昨日のように覚えている。家に帰ってそのことを話すと、「男の子が料理なんぞに関心を持つんではない。料理は女がするものだ」と偉い剣幕で祖母にしかられた。そんな時代でもいつか大人になって自由になれたら目玉焼きを存分造れると、早く大人になりたいと思ったものだ。授業では料理の付け合わせに蜜柑でも輪切りにして添えるといいという話が出た。40人くらいのクラスで班を7人位にして授業を受けていたのだろう。自分たちの班には蜜柑がなかった。もしかしたらと、学校を抜け出し家迄十分位を走った。期待に反して家の仏壇には、萎びた蜜柑が一つだけ供えられていた。ポケットにしまい、学校で蜜柑は七つに切られた。何故か無性に切なかった。萎びたものでもあっただけましで、祖母も留守中でいなくて怒られなかったのが不幸中の幸いなのだが。そんな祖母は梅干しを例年漬けていいた。50年以上前の夏の日射しが目に浮かぶ。その祖母の孫も還暦を過ぎて梅干しを造るようになった。
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2012年の夏の雲が、紫蘇で染まった梅酢に映っている。
白雲の梅酢の海をわたりけり 
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祖母に頼まれて、背中に灸をすえた煙のことを思い出す。確か線香の火から、艾の小さな塊の山に点火した。

倫敦の聖火の煙り夏の海

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ふと Ralph Laurenと言うブランドは、他のブランドで出来ないものを一つ加えることを心情としていた事を思い出す。それは七色が限界の生地だったら、其所に加えることを一色の八色の世界を創りだすこと。七色の世界と八色の世界では何かが気がつかなくても違うということ。合理的な差別化の原点をそのブランドに見たことを思い出した。何かが違うがさりげなく。
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山の上の白い家も夏、見上げる我が家も夏に包まれている。
数日前、ミンミンゼミの声を聞いた。今朝はクマゼミの聲を。
一週間前には蜩の声を聞いた。
机上にある、豆腐屋のラッパ、最近やって来る豆腐屋の軽トラのがうまく吹く。
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トーフーーーと余韻は夏の夜にかけて
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コメント 4

sig

2枚目の写真、シソの葉といっしょの本物の梅干しですね。母もこの手法で作りました。以降、夏真っ盛りの面白い写真ですね。豆腐は売りに来なくて、子供(私)がアルマイトのボールに水を張って、近くの豆腐屋さんに買いに行きました。
by sig (2012-07-26 17:06) 

Silvermac

年季が入ったラッパですね。
by Silvermac (2012-07-26 18:03) 

cafelamama

梅干し、ラルフ・ローレン、豆腐屋のラッパ。
興味深い記事です。
梅酢に映っている夏の雲がとても美しいと思いました。
by cafelamama (2012-07-26 22:15) 

SILENT

sigさま
梅干しの香りと真夏の日射しは似合いますね。
どちらも自然のエネルギーを感じるからでしょうか
紫蘇の葉は、擂り鉢で擂ってゆかりになります。
実家ではボールを持って豆腐屋に買いにいってました。
豆腐屋さんは朝早くから仕事してましたね。
Silveramacさま
かって豆腐屋さんが使っていたラッパでしょうか。
音色はいいのですが豆腐屋のリズムになりません。
cafelamamaさま
ありがとうございます。梅干しとラルフと豆腐屋のラッパ三題話には無理がありました。
by SILENT (2012-07-27 14:09) 

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