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1664 [人]

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1664年万治元年、小田原の宗雪という人が、東海道は大磯宿の西の外れ鴫立川の海辺に注ぐ辺りに、西行法師の歌『こゝろなき身にもあわれは知られけり鴫立澤の秋の夕暮れ』を忍んで草庵を設けたという。それ以前は川の名は鴫立川ではなかったのかもしれない。西行没後474年後の事である。その後30年経って、元禄八年大淀の三千風という俳諧師が入庵し
初代鴫立庵の庵主となった。現在は22世庵主の鍵和田ゆう子さん。
その鴫立庵で花と器のコラボレーションが2012年10月19日から三日間21日迄開かれた。庵は開庵以来町の文化交流の場だった。
『月と花と』と題して
花は京都の花師、川瀬敏郎さんを師とする大島健吾さん。
花の器は小田原の和菓子屋「菜の花」店主の高橋台一さんのコレクション。器は黒田泰蔵さんの白磁。
若き花師は、白洲正子女史の息のかかった川瀬敏郎さんの弟子筋の人。
コレクターは小田原の数寄人、今宗雪といった趣か。
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かって明治に入り鴫立庵の東隣には、大きな二本の黒松を龍に例えた「二松庵」と呼ばれる庭木を持つ白洲正子の祖父が別荘としてすんでいた。彼女が五歳の頃、鴫立庵は庭のように入り込んで遊んだ。と、白洲正子自伝には書かれ、彼女は西行にとっての鴫立澤とは、ココしかないと書かれてもいる。
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鴫立澤は古くは大きな入り江で、船が出入り出来る程で、石船町という名も残っていたという。別荘が栄えた明治から大正時代には茶屋町と云う名で親しまれたそうだ。
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器作家は黒田泰蔵さん、触れば切れるような美の切れ味を持った花の器だ。一枝を切らば、一指を斬れといった言葉をふと思い出した。
花の作者は、器の存在感が凄くてなまじな花では負けると呟いた。
白いマットな白磁はモダンで静まり返ったような存在だ。
釉薬がかからない白磁は、光を吸い込み月の様でもあるのか。
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西行の法名からとった円位堂には木造の西行像が祀られている。
秋の彩りが手向けられ西行も眼を細めておられるようだ。
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大磯ゆかりの虎御前は曽我兄弟の仇討ちで恋人十郎の菩提を弔い十九歳で出家したという。江戸吉原の遊女達は、虎御前を鑑とし、寄進したので虎女の像の祀られた法虎堂の天井には元禄の遊女達の文字が残るという。
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無双窓へさす光も。秋を夢想する。
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鴫立庵の入り口にも花が、、、
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祖父樺山資紀が亡くなったのは二月の最中、幼い白洲正子が二松庵から山手のもう一つの別荘「自然亭」に駆けつけたのは早朝。朝陽を浴びた壮絶な冬の山の姿だったと書く。今日の富士は真白き初冠雪を乗せて輝いていた。
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鴫立庵前より箱根方面、台の坂の「昇り富士」道は箱根駅伝の選手達も走る国道一号線。
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コメント 5

☆はな

とても 素敵な写真とお話 心魅かれました
ありがとうございます 〃o(*´▽`*)o〃
by ☆はな (2012-10-20 19:08) 

tree2

白磁、究極の器ですね。
目白の骨董店で店番をしていた友人が、このお花のような情報に詳しくて、休みの日のは、関東一円、見に遠征していました。
今は飯田にいますが、このために来ていたんじゃないかと思いました。

「菜の花」は熱海か湯河原にもありませんでしたっけ?

by tree2 (2012-10-21 12:33) 

COLE

富士山に雪がかぶりましたか
季節が大きく変わっていくときですね
by COLE (2012-10-21 14:25) 

SILENT

はなさま
コメントありがとう存じます。
機会があれば、人形山登って見たいものです。

by SILENT (2012-10-21 20:38) 

SILENT

treeさま
目白のお店とは、もしかして、もしかの店かも。
白磁の白は、光沢のあるものから、無光沢だが艶のある貝殻のような白迄、沢山ありますね。
黒田さんの白は、後者でした。
COLEさま
富士の一年、色々変わりますね。
空気も冷たくなりました。
by SILENT (2012-10-21 20:46) 

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