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神話 [かたち]

最近秋めいて来たというのに、居室のカーテンを変えました。この家に引っ越して来た当座、カーテンレールも無い窓際に、篠竹の細いものを数十本フックをつけてぶら下げて風に吹かれ竹達が揺れる影を楽しみました。
蚊帳が好きで在庫にあったものを切り開いて、カーテンに仕立てました。
部屋中が蚊帳の中にある様な空間が生まれ、青い部屋に変わります。
裾暈かしの藍の麻蚊帳なので、風には敏感に反応します。
DSC_3850.jpg不思議と落ち着ける部屋の理由は、蚊帳が透けて向こうの空間の存在と繋がっていることがわかります。息苦しさを感じない閉所恐怖症にならない存在のカーテンなのでしょう。
透けている事、向こう側とこちら側が繋がる空間。神話的空間です。

透ける構造では、格子の存在が大好きです。千本格子や格子戸の隙間から差す光が神秘的です。その隙間から、命の交流が行われているというのは大袈裟ですが、光の中に浮ぶ細かな無数の埃が、ダイヤモンドダストのように輝きだす瞬間も好きです。
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透けている事は、繋がる事にもなるようです。細胞膜が何かを遮断し、何かを通過させるように不思議な世界です。

秋の日ざしに蚊帳の藍が白く発光します。瀧の水のように静かな光が床に落ちて音を立てています。暖かな陽光に白く青い飛沫の光景。床には見えない落葉が静かに積もって行きます。いつかその葉は白い無数の水玉の光を纏い、根雪の下に埋もれて行きます、遠い夏の名残りを求めて蚊帳のカーテンに変えた事に満足しています。
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近所の古道具の店で、懐かしい蠅帳を見つけました。青緑の金網で作られたそれは、折り畳むことが出来ません。開いた傘から、電灯の笠を連想しました。手元のLED豆ランプを下げて玄関の廊下の天井から吊るしました。青白い光が螢のように発光します。蠅帳は蠅から食べ物を守るもの、新たな蠅帳の役目は螢と秋の世を照らすものになりました。
庭の木に秋蝶の白い姿が雨に濡れています。秋の夜の螢を点灯させました。電池が切れるまでの儚い蒼い光の命です。
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蒼き星秋塗込めし闇にあり  無音


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寂光

カーテン、きれいですね。
風に揺らぐその様、
光りの具合も良くて写真を撮る気持ちが良くわかります。
by 寂光 (2014-10-21 20:30) 

sig

こんにちは。
白い蚊帳をカーテンに。とてもいいアイディアですね。夏にはいかにも涼しそうです。光も風も適度に通して、爽やかさを感じます。
by sig (2014-11-05 08:52) 

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