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古典 [写真]

隣町の骨董市が先日あり、始めて出かけて来た。朝八時過ぎ人出は無し、店を開いた人達が、仲間内の話をしている光景は何故か昔と違って寂しげだった。紙の本が無くなる時代が来るように、物を売る人々はネットの中に引っ越してしまったように寂しかった。賑やかな骨董市もあるのだろうが何か現実の方が、沢山の埃を被って行く様な光景に思えて来た。朝日が当たり一枚の銀色のプレートが眼に滲みた。少し錆があるがそれほど古いもののようには見えない。手にとると手秤の重みが丁度良い。スペイン語のラ・プラタからラテン語由来の名へと置き換えたというARGENTINAという文字が皿の上に拙い線彫りで刻まれている。「銀の川」を意味するアルゼンチンの由来となったリオ・デ・ラ・プラタは、銀の川になるように願ってスペイン人が名付けた地名だという。ラテン語のARUGENTUMは、銀を意味するという。
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何かコンチネンタルタンゴの演奏が聴こえてくる様な、此の皿を一枚求めてしまった。紅い水が映える銀の皿。掘られた文字は日本人の大使の名が刻まれているようだ。年号は1966、今から48年の昔か。
百年前に作られたベスト・ポケット・カメラのレンズで一枚の皿を撮る。
百年前にはカラーフィルムは無かった。
五十年前にはデジタルカメラも無かった。
2014年の世界が切り取る一齣。
銀の皿の表面に、庭のミモザの葉影が写っています。
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柔らかな冬の日ざしに一枚の皿は静かに存在します。
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影が濃くなり、緑も深くなっていきます。
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紅い酒からピアソラの旋律が流れ出し、消えた。
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拙い、その文字が今一瞬、心を打ちます。
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