鮑坂

東海道線大磯駅の改札口を出て、東南を下る坂があり、その道は図書館を経て、国道134号線となる。その坂の途中に、十年ほど前まで鮑の埋め込まれ石の塀が連なっていた。大きなアワビの殻は何か贅沢な気がした。そんな鮑の塀の家を想い、いつか「鮑坂」なるタイトルの文章を書こうと思っていた。塀が取り壊され鮑の輝きも消えて、その思いは萎んでしまった。そんな時期に60年前のこの坂の光景を目にすることができた。
この町の60年前の光景が郷土資料館で展示されている。

半世紀以上の昔、海水浴場に向かう人々の群れを撮った写真は懐かしい。
鮑坂とい名は、私が勝手につけてものだが、当時は鮑の塀が両側にあった。それも東側の塀には４段も鮑が埋め込まれている。大きさは大きなもので３０センチに近いものもあった記憶がある。

この鮑の家の由来が、図書館の資料にあった。

大磯が本社の鮑研究所で、名古屋、台湾、東京と支店がある。その住所をグーグルで検索しても現在のその変貌した土地が現れるのは凄い時代になったものだと感じる。鮑は肺病の薬として加工されていた。

30年ほど前この鮑の塀を映し込んだ、写真を撮ったものが手元にある。
喫茶店のガラスに映り込むミニクーパーと鮑の西側の塀。
あの日は雨だったような。

現在の坂の光景が、大磯町郷土資料館で開かれている大磯町合併60周年の図録の中にあった。

60周年の写真展は2014年の今年12月7日まで、以下は詳細リンク先をご覧ください。
http://scn-net.easymyweb.jp/member/oisomuseum/
近所の紅葉も今が最盛期、古き8ミリのシネレンズで撮影を楽しんでみた。赤が乱れ飛び、輝きが流れる様、今年の黄昏です。

コメント 2

海水浴客の写真、湘南の海に泳ぎに行った自分を見るようで懐かしいです。8ミリシネの交換レンズで撮影されたのでしょうか。8ミリ映画の雰囲気が良く出ていますね。レンズの口径は小さいと思うのですが、どのように使われたのでしょう。
by sig (2014-11-30 23:45) 

sigさま
下の7枚の写真は、ペンタックスQ7に、ヤシノン38mmのシネレンズをつけて撮りました。Dマウントのレンズは、可愛いですが精密で手にズシリと重いところがいいですね。
by SILENT (2014-12-01 17:10)