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一月九日 [人]

平成26年1月9日早朝、この街でお知り合いになってから10年の御老人が、焼き芋の袋を二つ届けてくださった。まだ暖かいその袋には何かとても心温まる素敵な話が詰まっていた。その中身の焼き芋を好きだった、ある少女の話からそれは始まった。少女は明治34年9月19日東京本郷に生まれた。さる財閥の創業者の孫娘で、男勝りの幼児期を過ごしたという。そんな彼女が広大な本郷の屋敷の庭で、植木職人たちが焚き火をする光景に出会ったという。植木屋の棟梁が好奇心を持って近づいてきた少女に、焚き火の中から焼き芋を取り出し、綺麗な手拭いに包んだそれを差し出したという。幼いが上に好奇心旺盛な彼女の眼差しに内緒で焼き芋を差し出したのだろう。焼きたてのその味は生涯忘れられぬ大好物のひとつとなったという。その人が大磯の駅前にある別荘に来てその元別荘で2000人の子供たちを育てる生涯を送った、澤田美喜女史であることを知ったのは数年前だ、彼女は78歳でスペインマジョリカ島で生涯を終えた。その彼女と昭和28年から、お知り合いの老人は子供たちを共に育てた。
沢田美喜記念館の元館長として、御自分は教会の御堂守りで、小使いであると言われていたその方は昨年12月で97歳になられた。駅前にあるエリザベスサンダースホームの中の記念館は駅前とは思えぬ緑の森の中にある。落ち葉をかき集め記念館の前で焼き芋を月命日には供えるのが、元館長さんの恒例の事柄だったという。いただいた焼き芋おろそかには出来ぬと美味しくいただいた。
一月九日.jpg
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コメント 2

斗夢

今年は澤田美喜記念館を必ず訪れたいと思います。
by 斗夢 (2015-01-10 07:50) 

SILENT

斗夢さま
私もリニュアルしてからの記念館は訪問していません。コメントくださればご来館の際に、ご一緒できれば嬉しい限りです.SILENT
by SILENT (2015-01-10 10:50) 

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