四月十二日 [かたち]
いつか隣町のケーキ屋で買った、スイーツの器が役立つだつだろうと、摂っておいた。薄緑の若草色のその器に、百均で買ったキリで穴を開けた。キリの先は摩滅して、砥石で研がなければいけないほどその先端を失った。その代わりに小さな水抜き穴が器を割らずに完成した。鉢となって利用できる事と同時にその直径を手秤で記憶した。桜の花を見に出かけても、足元の適当な苔の姿に出会わぬか、目を皿のようにして探していた。この県の中央部に水無川という河川が流れているその4キロほども続く桜並木の土手に手頃な苔を発見した。掌に乗るような毬藻のような苔は、私を待ってくれていたかのように桜の木の下にいた。ティッシュで包み持ち帰って写真に撮られここにいる。苔の緑は季節で姿を変えていくだろう。それにしても丸く小山のような姿になぜ育つのだろう。この苔球の下はコンクリートの下地だった。雨が降り桜の樹の下の木陰に流れ込む水分で育っていたのだろうか。苔は年老いた幼稚園の木の椅子の上に置かれている。
大正14年4月12日のこの日、大磯地方で桜満開。紀州徳川候邸、鈴木梅四郎邸。鈴木梅四郎氏の農園は三沢川上流にあった。この農園に植えられた山桜は樹齢百年の老木で白い清楚な花を平成の今も咲かせている。
川瀬敏郎著「一日一花」の今日の花は、碇草(いかりそう)がローマングラス瓶に活けられて。
2015-04-12 12:37
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