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七月一日 [風]

小田原の街で、あちらこちらに架かる風鈴を見た。城下町の小田原では武具を作る職人技が、武具の時代から、風鈴へと姿を変え生き残っているのだろう。映画「あかひげ」で一斉に鳴り、一斉に止まる風鈴のシーンを見せた小道具の風鈴は、この街で作られた風鈴だという。姫路の新幹線のホームで、昔風鈴の音を聞いた。甲冑職人の仕事が火箸につながり、その火箸が4本下がった風鈴の音色だった。どちらも風の吹いた日の音色だったのだろう。

建物がひしめき合い、狭い空間に暮らす現代では、音がストレスになる。ビル風の音、風鈴の音、車の騒音、カラスの群れの声。

水を打った道路に、一瞬の風が吹き、音色が静かに広がる世界。そんな街に住みたい。

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平成12年(2000年)の今日、大磯温泉が、大磯プリンスホテルにて開業。町が入湯税新設。
昭和3年 狂犬病予防週間で、大磯の野犬買い上げ数40頭。いくらで買い上げられたのか。野犬たちを確保したのは、犬殺しと呼ばれた人たちか。自転者の後ろに木のリンゴ箱を乗せ、長い竿の先に針金の輪をつけた捕獲器を携えた男たちの姿を、子供の頃見た。

 最近MOTOKIさんという日本女性が撮った、『NORA』というインドとタイで撮った写真集が印象に残った。旅人も町の人も見過ごしている、野犬たちの生き方に、人々の悲しみや、喜び、生きる力を重ねて視たという。インドの路上か、雨の中雨宿りする裸足の男の足元のトタン板の下に丸くなり濡れた耳を傾け、カメラを見つめる野犬の眼が鋭い。

風鈴は、古くは銅鐸同様、未来と今を占う道具だったことを思い出した。
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