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六月三十日 [色]

MAROBAYAという名に興味を持った。円刃(まろば)とは、 使い込み刃の丸くなったものの意。研ぐことにより、新品の時にはなかった味わいや風格を増していく 「道具としての日常着」をコンセプトに、男女問わず着られるものを作る男性二人組みのブランドだという。円刃というその響きと鋭さが美しい言葉だと思った。そのMAROBAYAの商品の、白い綿の風呂敷を知った。

染めていない晒し木綿の風呂敷。風呂敷の実用性から見ると、白という潔さが今までになかっただけに新鮮さを感じる。以前アパレル関係のデザインに携わったので、白という色に興味を惹かれる。家電製品では白物家電という無彩色が好まれる世界があったが。
風呂敷好きの自分としては古典的な色合いの無地の風呂敷が好きだ。実用的には濃色の紺や、茶、臙脂、緑などが浮かぶ。厚手で丈夫な木綿と、よそ行きの絹等。

白いガーゼのような透け感のある綿の風呂敷は、都会的で贅沢感がある。何か大切なものを和紙の柔かさで包み保護するイメージが浮かぶ。夏には特にこの白い風呂敷が映えるのだろうが、使っている人を一度も見たことがない。風呂敷自体が街で見かけない世界なのだが。
白い風呂敷、白いバッグと同様、豊かさの象徴のような気がする。でも都会的すぎて何か危うさも感じるのは考えすぎなのだろうか。

先日横浜で1930年代のモボ、モガを探せという写真集を手に取った。そのページには多くの白いスーツの紳士達が写真で撮られていた。白いパナマ帽に、白い麻のスーツ、靴も白。モノクロームの写真や、セピアカラーのその世界には白い衣装が多い。女性達もフレアーの入ったスカートに、タイトスカートに白いブラウスと、白っぽい着物と夏の光に滲む白が氾濫。

豊かな白の世界には、カラフルな色彩が少なかった反映と、色が抑えられた都会の香りが感じる。白い世界は『贅沢は素敵だ!』といった人の声が聞こえて来る。時代の建前は「贅沢は敵だ」と言っていた時代の空気を、白という世界が反映している気がする。

白とは色なのか?晒すことで素材が白くなる世界が私は好きだ。白には色々な白がある。アイボリーホワイト、スノーホワイト、乳白色、鉛白色、シルバーホワイト、晒色。

IMGP1142.jpg

大正2年のこの日 湘南大磯の地引網二回で5万匹の鰤が大漁。
昭和5年大磯小学校の少女10名尋常五年生が、こずかい銭2円15銭を貧困者へ。
少女達の両親の収入は如何程であったのか興味が尽きない。その時代の格差はどれだけだったのか。貧困者はどこにどれだけの人がいたのだろうか。
昭和5年1930年という時代を思う。


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藍

私も日常的に風呂敷を使います。
やはり古い丈夫な木綿地のものが重宝します。
よそ行き用や撥水加工されたもの、また夏用として絽もあります。
白いガーゼのような風呂敷、とことん洗練されているイメージが浮かびます。
by (2015-06-30 12:59) 

SILENT

藍さま
コメントありがとうございます。風呂敷の思い出は、八王子の取引先の番頭さんが、風呂敷で包んだ仕事の品物を東京まで持参されていた光景です。もう二十年以上の昔のことですが。友人が駒場の民芸館で求めた格子の風呂敷が気に入って色違いの二色を求めたりと、風呂敷マニアです。白いガーゼの風呂敷は2006年から暮しの手帖の編集長の方が紹介し話題になったようです。MAROBAYAの白ふろしき。
小紋柄の小風呂敷で黒漆の花見用御重を持ち出すのが夢で、今年は実現できました。
by SILENT (2015-06-30 13:24) 

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