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1965 [映画]

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1965年昭和40年に上映された『知恵の木』という映画のパンフレットが出てきた。
カメラの詩人といわれた黒人カメラマンGordon Parksという方が監督であり、当時淀川長治さんの批評も読んだ気がする。冒頭の竜巻のシーンは何故か強く印象に残っている。当時書いた映画の印象が出てきたので以下に写してみました。
なんと美しいカメラ映像詩なのだろうか。自然と人間。運命に対して人はどのように立ち向かわなければならないのか。知恵の木、それは悪い実も、良心の実も一本の樹になるという。世界の何処かある一本の樹。物語はアメリカカンサス州の1920年代、アメリカンナイーブのタッチによって展開する登場人物、あおく何処迄も続く麦畑、そしてその上を渡る風と、どこ迄も深い鉛色の空、突然の竜巻と雨。
農場の牛達が逃げ惑い、馬上のカウボーイがそれを追う。たつまきは全てを吹き飛ばす。竜巻の去ったあとのあの大きな夕日。血のように赤く燃え上がる農場の落日。保安官のあの大きなオートバイと彼の帽子、ガンベルト。西部劇そのままに、森の沼での二つの射殺事件。そして不幸な黒人少年の黒いマリア。日曜の教会であった少女との淡い恋。盲目の伯父から、酒場の主人から、そして友人から、彼は包まれている。
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感謝祭の見せ物と、池畔での屋外パーティ、色とりどりの風船、白いテーブルの上のバスケットの中の果物達、人々は寝そべり、木によって、歌い、踊り、真っ白いボートに乗っている。
活動写真はチャップリンのモダン・タイムス。外では雪が、、、そして映画館の前での彼女の赤いコートの鮮烈さ。クリスマスの日 聖なるものは全て白い、夜の雪で一面白い世界。カメラは舐める白い世界。だがその下には、一年色々変わる世界がある。『Coloured in the World』そして春が来て スミレコロンを少年が手にしたとき 少女は 町からいなかった。
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特別御鑑賞券350円とパンフレットに挟まっていた。47年前の文章、今と進化していないことの恥ずかしさ思い知りました。物語の解説で、黒人の命を犠牲にして迄白人の命を救おうと決意したとき、彼が知ったのは名誉の尊さ、人間的誠実の誠実の美しさに出会った。アメリカの良心があった時代。それは1920年代なのでしょうかそれとも60年代の、この映画が作られた時代。2012年オバマの時代。アメリカの良心と、日本の現在の良心について思いを馳せました。

2001 [映画]

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映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を見た。長い題名だが、母親から息子へのメッセージに書かれた言葉だと言う。2001年9.11.をテーマとした子供が主人公の映画だった。冒頭のシーンが何か不思議な世界を予感させる。切なすぎるが美しいシーンだ。スーツを着た男の足と靴がスローモーションで映し出される。空を飛ぶ男の髪が風を切って揺れる。タイトルの白い文字が紙切れとなって空に舞う。
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主人公の子供が呟く、「この地球上には今、生きている人々が、今迄に亡くなった人の数よりも多い。」果たしてそうなのだろうか。自分は死者の数のがずっと現在生きている人より多いと信じて来たのだが。あるHPには、この1万年間に地球でどのくらいの人間が生まれたのか計算してみよう。もちろん、先に見たように、単純に世界の人口を足すのではなく、出生率をかけて生まれた人数を1万年分足すのである。結果は、3279億3175万4805人。
少年が呟いたのは、70億の現在生きる人々より、死者の数のが少ないと聴こえたのだが、原作を読まないと意味は判らない。

少年をイスラム世界の中で育っていく少年に置き換えてしまった。チャップリンが言った「あなたと私の間にあるのは、立場の違いだけです。」確かに豊かさとか、生まれた環境の違いは、幸福には本質的な影響を与えないかもしれない。
少年にトラウマとなった体験が、映画の中で扉を開いていく。一つの鍵が、心の鍵穴に合い、人の心の扉を開けていく。少年が探す「BLACK」というNew York中の人々にも暗喩が込められているようだ。いつか南部アメリカで「COLOURD」という小田実の見たバス停での標識が甦って来る。少年は911で亡くなった父親を捜し、インターネットの画像から空を落下する人の姿に父ではないかという姿を追う。なにかこのシーンは痛ましすぎる。
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映画は寓意と暗示に満ちている世界かもしれない。少年の祖父はドイツドレスデンの出身で、ドレスデンが米軍ら連合軍の空爆で破壊された、アメリカに渡ったという。祖父が言葉が話せずメモや掌で孫と会話するシーンが印象に残る。これ以上種明かしするのは、原作や映画を見る人の妨げになりそうなので止めておきます。
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911の真実は一つなのだが、生きてこの世界に遭遇した人々が様々な思いと、様々な人生を歩んでいる事が、この映画から判った。希望が芽吹くようないい映画だった。少年が「太陽が爆発しても、この地球にそのことが届くのは8分後、、、、、、、」この意味する事を噛み締めてみたい。
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ビデオ屋で「スモーク」というアメリカ映画を借りてきたいと、ネットを検索中、この映画に出会いました。それにしても長いタイトルでした。
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トムハンクス演じるアメリカの父親と言った人物と、その父親の二人が好きです。
少年の母や、祖母も最高の演技でしたが。
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