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1978 [色]

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1978年頃は、女性のストッキングのオリジナルカラーを造る仕事をしていた。
色出しのオリジナルカラーの為に化粧品会社のファンデーションの色を集めたりもした。日本人の女性の肌の色がどんな具合か判らないのでこれが困った。日焼けをしたりした肌には濃い肌色のストッキングの色が売れた。正確にはこの時代はパンティストッキングという商品になっていた。ミニスカートが1960年代後半には日本にも上陸して、脚を美しく装うのは当然の時代になっていた。それ迄は脚の後ろに縫製ラインが一本はいる、シーム付きストッキングが主流だった。当時の雑誌ハイファッションの編集長に、「アランドロンの出演する映画で、お金が無くて、ストキングを彼女にプレゼント出来ないドロン演ずる青年が、彼女の脚に黒い線を手描きするシーンがある。」と言う話を聴いて不思議に思った。ストッキングはそれほど高かったのだ。エリザベス女王に献上されたストッキングは昔は手編みだったという。其の昔中世では男達も長靴下のストッキングを履いていたという。中世の絵画には出て来るが。
話はストッキングのカラーの件だった。ストッキングには絹や木綿の時代があり、戦後ナイロンになった。かっての肉色一辺倒だった時代からパステルカラーや編みタイツ、プリントが施されたものまで種類は広がっていた。生地の厚さも透ける範囲から肌の色が透けない熱さのもの迄多様になっていた。色が透ける生地の厚さだとストッキングの色と重なって、その人の肌の色が重要になった。
今朝、窓の外の朝日の中に脚長の虫が止まっていて、脚の話を思い出した。
虫が嫌いな方、文字だけお読みください。
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九州のある都市や、東京新橋あたりのパンティストキングを売る店では、色が肌色の中で最も白っぽいものがよく売れていた。肌が白い女性が好まれた現象があったのと、夜に美しくありたい女性たちが多い地域だったのも影響したのだろうか。関東ではグレーが赤みがかったものが好まれ、関西圏ではグレーが黄味かかったものがよく売れた。夏場になると肌の色が濃くなっていくもの程売れた。最近はパンティストキングを履く女性は少数派だろう。素足という言葉が当然だが、化粧品は脚用は売れているのではないか。色を出して染め上がって来たサンプルにはいろいろな事があった。一番奥深いのは「黒」の世界だった。売り場で一番すてきな黒があると云う話で、分析が始まった。その評判になった黒は、売れなくなった商品の在庫の肌色に、黒を乗せて染め直した色だった。人生と同じで何度も塗り替えられて、最後に深みのある黒の世界に達した色は、簡単には量産出来ない色であった。
着物の世界でも、何度も染め直しされ重ねられた黒の世界は凄みがあると利いたことがある。素材色という素材が絹や極上のもの程美しい色がのる世界だ。
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蝉の羽根のように透ける素材に色を付けたものは、検色して決定する迄が困難を極めた。機械で色を測定は出来るが、最終的には人間の目が決定する。人の眼も年齢を重ねると、眸が絞りきれなくなり、眸の色も変わり、色に対する反応もかわるという。センサーが異なる条件で、素材についた色を決定する事は微妙に難しい世界だった。恩師の言葉に、「色は単独では悪い色というものは無い、組み合わせる色同士で色がよくも悪くもなる」これは単色でなく配色という世界が重要だという事を教えてくれた。
最後に色は、素材と光の環境で大きく変わる。太陽光線で色の見え方も蛍光灯やタングステン電球、LEDライトの光源で変わる演色性という問題があった。
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中世の女性たちは特に西洋では、女性には脚が無いのがあたりまえで、ピアノの脚迄布で包み隠していたという。それほどエロスと直結していたのだろう。中国の纏足と言う世界も強烈な時代だったとおもう。
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人間とは脚に限らず強烈なことをするものだ。
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近所の松並木に明治の頃イギリスから外来植物としてやって来たという、「小判草」という植物が群生し実をつけ揺れている。姫小判草という種類は小型の実をつけるのだが、小判草は大きくなると少し不気味だ。
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海に出るなじみの小径こばん草 成田千空
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俵麦金の音よりも微音にて
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駅員3

色の蘊蓄、非常に興味深く拝読させていただきました。
分野は違いますが、我が家のJEEPの色が、見る環境によって、緑から褐色に変化します。
写真に撮ると、なかなか記憶色に近い色が出ません。
by 駅員3 (2012-05-23 15:19) 

tree2

小判草、緑のうちはいいんだけれど、
乾いて白っぽくなると虫のおなかみたいで…弱いです。
by tree2 (2012-05-23 19:52) 

sig

こんばんは。
シームのストッキングに魅力を感じていたのに、ある頃からシームレスに変わり、とても味気ない思いでしたよ。笑 
シームが付いたものはちゃんと足の型の生地を縫い合わせたものだったと思いますが、シームレスは筒型をした袋状のものを足の形に成形したものではなかったでしょうか。
by sig (2012-05-27 23:50) 

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