2001 [かたち]
2001年銀座に再建した、歴史のある化粧品会社のギャライーを尋ね久しぶりに上京した。其のギャラリーはかって隣りのビルの地下にあった。
2001年の新ビル建設に伴い引っ越し、今年で11年目を迎えたようだ。
新しいギャラリーを訪れるのは始めてになるのだろうか。前のギャラリーに来たのは十一年前以上の遥かな昔になる。浦島太郎のような思いがよぎる。ギャラリーは地下の空間に白い箱としてあった。
写真スタジオや、ギャラリーは何故白い箱が多いのだろうか。作品を引き立て、干渉しないマットな白が最適だからだろうか。
会場では、台湾出身のニューヨーク在住の作家による、日本で始めての展示となっていた。
久しぶりの東京は巨大な硝子の箱が林立していた。箱は直線の構成でなく曲線を多様したり、様々な箱の表面処理を競い合っていた。鈍く光るタイルや、硝子のブロック、白いアルミのような素材。そんな巨大な箱の中の空間にギャラリーの白い箱はあった。入り口のカウンターで展示の箱は自由に開けて、中味に触らないで蓋の裏のコメントを読んで鑑賞して下さい。と言われた。
展示空間の中央に低い大きな台が設置され、白木の箱が数十個、海老茶色の絹の幅広リボンで留められ、葡萄茶色の座布団が数個用意されていた。
絹の感触のリボンは解くと上手に結びなおすことが出来るか躊躇われたが
解かない限り蓋は空かない。何人もの人達がリボンを解き中の作品を鑑賞したのだろうか。箱のリボンの結び方や置かれた箱の位置の関係迄もが、作品のように見えて来た。
箱をもち上げると思った以上に軽く、ふたを開けると薄い膜のような素材の向かうに着物が畳まれて入っていた。薄紫のコメントの紙が箱の裏には貼られてあった。『母か祖母の形見の着物 提供者MARUMARU』
次の箱には、母から三姉妹に贈られたキルトが入っていた。小さな頃の時代の布をあつめて作られ贈られたと書かれていた。三番目の箱は布製の人形。、、、、、、、「Fabric of Memory」記憶の織物と題されていた。
かって美術作品とは鑑賞するものだった。鑑賞は主に眼が使われた。当然だが触る事も、匂いを嗅ぐ事も、出来なかった。耳を澄まし何かを聞き取る事ぐらいは出来たが。
箱という空間に興味を惹かれた、人は何故箱に心を魅かれ、想いをしまうのだろうか。茶道具や大切なものを日本人は桐の箱にしまってきた。台湾出身の作家の人生がふと気になった。彼の作品に団欒という光景も見たからだ。
近くを歩いて汐留の電通ビルの地下で、「日本のCMのぜんぶ1953−2012」を見た。壮観だった。時代が見えた。何か明日も見えてくる気がする展示だった。10月14日まで開催中。両展とも入場無料。
上野に出た。始めて鶯団子屋に入った。上野の森は少し賑やかすぎた。
帰りの電車の箱から、箱に乗り込む人々の足元を見つめた。
東京駅のホームは相変わらずである事が嬉しかった。
2012年9月26日午後四時頃の東京駅東海道線ホームの光景から。
2012-09-27 09:34
nice!(28)
コメント(2)
トラックバック(0)
電通地下でやっている「日本のCMぜんぶ」の端くれに
僕の作品も入っているかもしれません。
「I feel Coke 87」という作品です。
by cafelamama (2012-09-28 16:13)
cafelamamaさま
YouTubeで拝見しました。今でも人気が高いCokeのCMですね。歌もクリーンですね。函館の製作光景目に浮かびます。
会場では各種DVDも売られていました。杉山登志さんは、好きでした。厳さんの「男は黙って」タンカー編もながれていました。
by SILENT (2012-09-28 20:50)