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皮膚感覚 [いのち]

「名前のない道」赤木明登著に、視覚と触覚の話が出てくる。著者は能登で漆の職人と也、うつわを塗りつづけているそうだ。器を塗り続けていると、言葉があふれてくる。と、著者は言う。ひたすら身体が覚えて腕が、指が、身体が動く。漆とは接着剤として、保護材として、ものの表面を覆おう。その表面は肌と呼ばれるのだろうか。皮ではない。皮膚でも皮でもない「肌」という言葉がぴったり来る。

逆引き辞典で「肌」を調べると、雪肌、玉肌、美肌、新肌、両肌、絵肌、赤肌、青肌、木肌、地肌、姉御肌、鉄肌、鮫肌、柔肌、岩肌、限りなく出てくる。肌理、肌色、肌薄、肌砂、肌刀、肌寒まだまだある。
肌焼とは夏の季語だろうか。肌は生きていて下界のセンサーでもあるのだろう。鳥肌が立つ、肌で感じるということも多い。肌を脱ぐという言葉もある。皮は触覚的に硬いが、肌は触覚的に柔らかなイメージが強い。

身近なもの達に、様々な肌を持っている世界がある事を楽しんで撮影してみた。肌とは、其の物の素材の性質を表わす、情報の入り口の様に感じる。

著者は、木の器も、自動車も、同じ様な機能を持っているという。器はおかれたテーブルのA地点から、口元のB地点迄移動する事を助ける役目を果たす。車はA地点から、B地点迄移動する役目を果たす道具だ。移動のみでなくその器の持つ素材感や、重量感、視覚的なデザインが重要な要素だ。

さまざまなものの本質を視る眼と、触れることにより得られる情報の指先、視覚優先の世界から触覚重視も必要なのかと思う昨今です。

神の訪れも、風や音が知らせる肌で感じる世界。理解する世界よりも、何かを感じる世界。その先は名前のない道が、横たわっているのを感じだしました。

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斗夢

見て触って聞いて嗅いで確認しないと生きていけないような生き方をしていますが、感じる世界に身を置いた生活がいいように思うのですが。
by 斗夢 (2013-06-12 06:17) 

SILENT

斗夢さま
加齢により五感も衰えて来ました。視覚も聴覚も臭覚も味覚も触覚も鈍くなり、老人力を強く発揮しないととおもいます。知力も衰えたら、感じる力を強化せねばと感じています。
by SILENT (2013-06-12 06:31) 

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