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天変地異 [本]

赤木明登さんは語る。縄文の時代からこの国では漆が使われてきたという。それは人間が自然と対話する関係から生まれたという。自然とは、おのずから生るものであった。自然を畏怖し敬い、その恩恵から暮しや、生きる糧が生まれた。その自然からの聲を、漆が発する無言の声を著者は聴く事が尊いという。
此の世に存在するものは数十億年、数万年の変遷を経てきたモノ達で構成されているのだろう。
木の肌や、鉄の肌に、風雪を刻み込んだ痕跡を見ることが出来る。
赤木さんは工房で今朝も、ひたすら漆を塗る作業をしておられるのだろう。
「この国に繰り返し繰り返し営まれてきた漆と人の交わる姿が、僕の前に連なっているのがわかるのだ。この漆は、祈りを忘れ、おごり高ぶった僕たちがひきおこしてしまった、恐ろしい原子力発電所の事故の年、2011年の漆でありながら、同時に縄文の漆でもあるのだ。」 クロメられた漆は桶に封印され、漆専用の倉庫で三年から五年寝かされるという。その間にゆっくり呼吸をしながらこの場所の環境に馴染んでいくという。この漆の貌を見るのは何年後になるのだろうか。その時縄文から続くこの国はどうなっているのだろうか。と著者は結ぶ。

漆職人の背中から見える姿、真摯なものを感じました。
今日も身の回りの、肌で感じたものの世界です。
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鉄肌の熱き姿や初夏の風



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雨風を見つめきたりて夏二人




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発泡の吹き飛ぶ白さ夏は海




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朱夏まじか冷たき雨が描くもの




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肌冷えの青に寄添う紅きもの




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断面は歴史の波の蠅とまる




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黒松の肌より皮と夏がいう




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朽ちていく真夏の姿刻むもの




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どこまでも夏の畑が続く街




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白化粧老いたる夏の立ち姿

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コメント 3

lamer

現在の日本人は縄文人を支配した弥生人が交わって出来ているので
どれほど縄文人の魂が残されているか疑わしいですね。
宗左近氏は縄文人の神は愛の神、弥生人の神は知の神としています。
by lamer (2013-06-12 11:38) 

SILENT

lamerさま
宗左近氏の「真実の藝術とは、意識となりたがらない無意識の事であると、私は思っている。」と縄文の祭器の前で語られた言葉が印象的ですね。

愛の神とは的確ですね。

左近氏の父は新モンゴロイドの弥生人の子孫、母は縄文人と同じ民族で現住していた熊襲の子孫で、父母は神と文化を異にしていた。そんな事が「古美術幻妖」宗左近著のあとがきに書かれていました。
by SILENT (2013-06-12 12:25) 

kohtyan

心象写真、素晴らしいです。
by kohtyan (2013-06-12 14:24) 

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