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換骨奪胎 [物語]

換骨奪胎 冷斎夜話とは、宋代の僧侶・恵洪(覚範慧洪1071-1128)が見聞したことを記した書物。内容的には、北宋・哲宗の元祐年間(1086~94)の有名人たちの言行が多く記録されている。という中で、換骨奪胎(かんこつだったい)は、 骨をとりかえ、子宮を取って使う意で、古いものに新しい工夫をこらして再生することにいう。先人の詩や文章の発想や表現を踏襲しながらも、自分なりの工夫を加えて新しい作品を作り出すこと。今で言う臓器移植の様な不気味さも感じるが、彼の国は凄まじい歴史があるものだと思う。
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古くなった風呂椅子の上板が割れて、修理をしようとチギリを入れる事にした。
良く鑿を研ぎ、上板にチギリのかたちより少し小さな穴を穿つ。
鑿は柔らかな木肌を滑り吸い込まれる様に彫り進むことが出来る。
刃物は研がれてその役目を果たすことを知る。
木の香がたって、檜である事が判る。生まれたままの様な赤みを帯びた木肌が顕われる。
黒くなったベランダにおかれた風呂椅子は、一寸した作業に快適な高さと軽さだ。
チギリを入れ割れの補強になる。
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完成したチギリの二個はいった風呂椅子、少し寿命を繋いでくれるだろうか。
風呂椅子の作者に何と思われるのだろうか。換骨奪胎甦った命の様にもおもえた椅子。
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エイジングという言葉がある。時を経ねば生まれない姿や趣、それは人でも、モノでもいえるのだろう。古くなる程ものや、人は輝きを失い汚くなるという。然し古くても立派に輝く人や、ものが世界には存在する。
手にいれた一瞬から、汚れ始める家電製品や携帯電話と違って、エイジングを感じるものには何故か自然素材が多い。二年前の七月にこの県で育った檜の食卓を家族で作った。厚み4センチの桧のテーブルは二年が経過して、程よい色味と艶に変貌しつつある。このテーブルがあと十年二十年したらどんな趣に変貌を遂げるのだろう。年を経て輝くものとは、停滞する事なく毎日生まれ変わっているモノである事に気付いた。下は二年前の卓上画像。
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二年を経過して艶の出てきた卓上。生きることにも艶のある人生をと願う。
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ぎぼうしの花
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梅雨空の床
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みどりのかたち
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コメント 7

sig

丹精された檜のテーブル。2年間でこんなにも趣が変わるものなんですね。ますます愛着が出てきますね。
by sig (2013-06-28 16:45) 

SILENT

sigさま
神奈川県足柄の「丸太の森公園」の管理事務所に、製作後十年経ったヒノキのテーブルがあるそうです。いつか機会があったら見に行きたいと思っています。
by SILENT (2013-06-28 19:52) 

Silvermac

椅子も生き延びましたね。
by Silvermac (2013-06-28 21:07) 

tree2

カスガイが景色になっていますね。焼き物のつくろいみたいに。

ご無沙汰をお詫びします。
4月半ばからつっ走っておりまして(人が見たらカメ歩き?)、
ついにへたばっておりました。
ようやく本調子に戻ったようです。
今後ともよろしくお願いいたします。
by tree2 (2013-06-29 13:41) 

そらへい

チギリというのですか
初めて知りました。
by そらへい (2013-06-30 19:24) 

ジル

こんにちは。
ちぎりきな かたみにそでを~
の百人一首の歌を思い出しました。
この伸びた台形のような形が、板と板をうまいこと止め合わせるしくみになっているんでしょうね。
風呂いすの表面にリボンのようなひもを結び合わせたような模様、少し可愛らしくも見えました。

by ジル (2013-06-30 20:22) 

SILENT

木工用具辞典では、木と木を接合させる際、補強のために填(う)め込む鼓(つづみ)形の板片。両端が広く、中がくびれて狭い。「衽」又は「乳切木」とも書く。とありました。一般的なチギリのかたちでは蝶の羽根のかたちが多く、蝶ちぎりとも呼ぶそうです。皆様コメント有難うございました。tree2さま、そらへい様、ジル様、今後ともよろしくどうぞ。SILENT
by SILENT (2013-06-30 21:05) 

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