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五月十一日 [花]

クレマチスの丘.jpg
クレマチスの丘という三島にある文化的な施設に先日出かけました。花を見ていて考えた。花の咲く頃だけが、花の美しさと思っていたが、その蕾の時期のがもっと美しいと感じる最近だ。花の咲く前の草木が精魂を込めて立ち上がる姿。草木が葉を落とした冬の季節。様々な自然の移り変わる姿に、何も不足するものはないと感じる。静かに蕾を見ていて考えた。花の季節、何かが溢れ、何かが足りないと感じる。時の流れはない。今があるのみ。

明治37年(1904)極端なる貯蓄主義、大磯町の町長の訓示に基づき、国債に応じない者は、毎日一銭以上五銭以内を各組合ごとに集金し、郵便貯金することになった。町民は集金に苦しみ、質入れまでして貯金をすることになった。なんという時代だろう。何のための貯蓄奨励か。
昭和9年(1934)の今日、大磯小学校生徒ほか、軍港見学へ。軍港は横須賀か?大磯から横須賀まで国道134号線が現在繋がっているが、こちらの道路は1965年に指定施行。生徒たちはバスか、東海道線経由横須賀線で、横須賀軍港までいったのであろう。その後軍港周辺は要塞基地として軍需機密のため秘密保持が厳しくなる。子供達は戦意高揚を高めたのだろうか。
此の町在住だった日本画家の安田靫彦さんも、軍艦の描き出すカタチが美しいと言われていた。戦艦も機能美にあふれている。武器の美学は好きではないが、戦争が多くの技術革新を果たし、今も世界の技術の先をリードする世界なのだ。

最近話題のドローンも戦場を飛ぶ姿が随分以前からあったのだろう。無人の飛行物体が世界を飛び回る時代。不気味で何か夢がないですねー。

クレマチスの丘のビュッフェ美術館で作品群を見た。解説版の赤瀬川原平さんの「ビュッフェの絵に見る痛々しい程の線に、自傷行為を連想する」と書かれていたのが印象的でした。あの鋭い線が私の十代では無性に好きで、共感を覚えていたのに、何故か60代の私には感銘が受けません。自分の感性が感じない作品になったのが不思議でした。鋭い線や黒の世界に何か反発する自分でした。年を取り円くなった自分の姿が作品の前で感じられました。
クレマチスの蕾の鋭い輪郭線の方が、ビュッフェの線よりも、共感をもつ自分がありました。
今でもジャンセンの作品の線や、シーレの作品の線には共感を覚えます。何が違うのか不思議です。食べ物の嗜好が変わるのと同じく時が嗜好も変えてしまうのでしょう。
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