六月二十八日 [海]
門坂流さんの銅版画作品『荒波』を眺めています。うねる一本一本のビュラン刀による線が銅板の上を滑らかに走る。研ぎ澄まされた神経の緊張感のような命の線が渦巻く様は好きだ。明るい光の束の部分から、闇に近ずく影の部分へと作品は掘り進んで行くという。昨日奄美大島の泥染めの工程を記録した映画を見た。男たちが樹木と田の土と格闘しながら何度もなんども
染めの工程を繰り返す。力技の世界と2ミリも狂えば糸の絣が布にならないという繊細な模様のための気が狂うような繰り返しの工程、女性たちによって織られた緻密過ぎる絣の文様。人間は絵を描き、模様を生み出すために祈りのような作業を繰り返す。何と不思議な生き物だと思う。畝る線が海となり、大地の声となる。
昭和7年湘南大磯、海水浴場開きの宣伝ビラ50000枚刷り上がる。海開きは7月2日、ポスター1000枚はデパートに貼布。
昭和11年海岸の海支度。海水プールに初の水入れ。総水量2500石。
2015-06-29 09:38
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先日、鳥羽美花さんという染色作家の制作過程を撮ったドキュメンタリーを
TVで見ました。建仁寺に納めた襖絵でしたが、素晴らしい芸術家は
存じ上げないだけでたくさんおられますね。
by 斗夢 (2015-06-30 04:44)
斗夢さま
日本に限らず世界で活躍する芸術家の人々、戦争と距離を置けるのが何よりも救いです。工芸の世界も長い伝統と前衛がある世界で素敵ですよね。
by SILENT (2015-06-30 13:27)
門坂流さん、懐かしいお名前です。
むかし鉛筆で描かれた作品を観て大変驚きました。
by akipon (2015-07-01 11:11)