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六月二十八日 [アート]

外来種の雛罌粟に似たオレンジ色の花が終わり、無数の実をつけて揺れている。実の頂上が星型の幾つかの十字に切れ込み、判子にしたら面白そう。小さな黒い種がこぼれ落ち来年子孫を増やすのだろう。芥子の実もごくごく小さなものであったことを思い出した。薄い花弁のオレンジの花の時期も思えばあっという間だった。ナガミヒナゲシは地中海沿岸から中欧原産の帰化植物。1年生草本であり、路傍などの荒地に生育する。秋から冬に芽生え、春に開花する。ケシの仲間には、含有成分によっては栽培が禁じられているものがあるが、本種は特に問題ないようである。葉は羽状に深裂し、毛が多い。花弁は4枚であり、雄しべは多数。中央部のめしべの柱頭は4本から8本の筋状であるが、7・8本のものが多いようである。

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大正3年湘南大磯台町の藤林幸次郎氏宅のダリアの花盛り。近年ダリアも復活か、平成には秋の皇帝ダリアが見られるが。

昭和10年大磯鴫立庵へ1000年を経過した聖観音像安置。蒋介石の寄贈の観音像との話も聞いたが。観音堂は今もある。

五月十日 [アート]

静岡県三島にあるクレマチスの丘に行ってきた。見事に咲き始めたクレマチスは250種類もある中から限定され栽培されているという。そんな庭園と美術館のある散策で、ドイツの作家による美しい作品を見た。タンポポの羽毛の種や、馬の毛を使った繊細な作品、草の実を乾燥させ繊細なその茎と種子を構成した作品。はっとして写真を撮っても良いということなので静かに床の上から撮らせていただいた。大きな神殿の柱の構造物のように近くで見ると思えてくるから、自然とは凄い構造なのだと驚く。作者は自然の一部を祈るような仕事で再構成しているのだろうか。
花粉の黄いろい部分だけを白い床に一面に展開して広げる作家もいた。微風が微かな曲を演じるように作品は動いていた。数時間前箱根の大涌谷の地球の鼓動を聞きながら山越えしてきた駿河湾を見下ろす富士の麓に美術館はあった。
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明治34年小田原に滞在の皇太子殿下(大正天皇)は、国府津駅より自転車で湘南大磯にある滄浪閣まで御訪遊された。

二月二十五日 [アート]

東海道線を大磯の駅で降りて、小田原方面に線路沿いの坂を下りていくと、左手に大磯小学校の門が見えてくる。この線路際の道は海際の伊藤博文邸へと開発された道で、朝鮮統監となった博文にちなみ、統監道と呼ばれたらしい。そのまま線路沿いに数分歩くと富士見橋という小さな橋を渡る。その先の左手の路地に入り十数メートルの左手の角に、旧島崎藤村邸がある。昭和初期の別荘建築で、お茶室が設けられた風情のある借家だったという。そう戦前の都内に住んだ文豪達の多くも借家住まいが当たり前だった。一般人も借家や間借りは当たり前だった時代だ。
昭和16年1月14日の晩に、大磯大内館に宿泊し、夕方左義長の火祭りを見た島崎藤村はこの町に住もうと決めたという。故郷馬籠の道祖神祭りの火の光景を思い出していたのだろうか。69歳の藤村は大磯町東小磯八十八番地のこの別荘を借り、翌年8月には買い取ることにしたという。付近に数件の同じような和菓子屋所有の別荘があり、隣組の住人たちは鉄道員や職人、八百屋など下町の顔ぶれといった人たちが多かった。質素を好む文豪にはお似合いの環境だったのだろう。今も残る竹垣の中の作家の家は、ひっそりと保存されている。人力車が一台通り抜けられるだけの路地は静かな趣が今現在もある。統監道へ戻り山手に向かう線路の下をくぐる地下道に「夢のちかみち」というなの立て看板があった。ちかみちは、近道と地下道をかけているのだろう。地下道の歩行者用の階段が、虹色にペンキ塗りされていたのだろうが剥げ落ちて、根来塗りの風情を見せている。
数十年の歳月が、地下の階段にまで及んでいる光景、なぜかレトロで好きなのです。
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昭和5年大磯相模漁業会社、鰤5,000尾、一尾四円五十銭で仕切り。
昭和10年全国90歳以上の高齢者に真綿一包宛下賜、大磯3名、国府1名。
現在の百歳以上の人口は3万人を超えるのだろうか。今百歳を超える人々は、昭和10年当時、25歳前後だった。どうでもいいことだが寿命とは何か、人の一生を思う。平成27年の今日、曇り室温15度。一昨日は春のような気温で体調変化に油断なくすごさねばと思う。

一月三十一日 [アート]

今日で一月も終わり、何とか一日一写も続きましたが来月からは、まとめてアップか、簡単なコメントだけにか、手抜きを検討中。
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明治30年1897/1/31 西周67歳、大磯駅裏近くの別荘にて死去。山口県津和野の人。日本に、哲学と言う言葉を訳した人とか。

一月二十一日 [アート]

平成二十七年一月二十一日小雨、東京では霙という寒さ。昨日は大寒で雪国の今の季節は大変なご苦労があるだろうと思います。日本では十年後には、五人に1人がボケ老人というニュースを聞いて、ボケにはどうしてなるのかと考えた。呆けてしまえば本人はわからない。呆けた人と付き合うのにはどうしたら良いのだろう。今もボケと闘う人は大勢いる。呑気なことを言っている場合ではないのだが、ボケには何故なるのだろう。赤瀬川原平さんの「老人力」を思い出した。ボケにも幅があり、呆けた人も絶えず呆けているわけではないのだろうが、お付き合いが難しいと思った。
先ずは自分のボケ初めて部分とお付き合いをしなければと思う最近である。昨年台湾から送ってもらった未年の大きな年画。若い人の作品だろうか。何故か元気が出る原色と、おおらかなタッチ。
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明治37年のこの日、大磯駅前岩崎別荘内長屋住人募集!別荘内東側に長屋建設の計画。計画は実行されたのか長屋の住人は幾らくらいで居住できたのだろうか。
昭和3年100余尾の鰤漁、一尾5円50銭で取引。この頃の1円は、一円札は竹内宿禰が描かれ、出版界では円本時代が続いていたという。鰤一尾で円本が5冊買えた時代。市内一円の円タクは50銭銀貨一枚で大抵のところへ行けたという。レストランへ行けばスープとコーヒー付きの円定、1円定食が多かったという。国産初のサントリーウイスキーが4円50銭で翌年の昭和4年春に売り出されたという。
昭和11年大磯乗馬倶楽部、新春遠乗りで70余名参加、花水練馬場を出発。現在の平塚市と大磯町を隔てる花水川の河口付近に練馬場は作られた。後野球場となり、戦時中には畑となったという。
昭和26年吉田茂首相は、大磯より葉山御用邸まで陛下をお見舞いにでかけた。

一月六日 [アート]

昨年の暮れ台湾から届いたバースデープレゼントのポスター。羊のオンパレードで素敵な大判の10枚が、2015年の我が心を明るくしてくれる。感謝
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なつをはぐ [アート]

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リビングで我が家で使用中の椅子は、飛騨の家具工房の製作で、飴色になった塗装の色が摩擦に会う背もたれあたりは、剥げかかっている。テーブルは3年程前に手作りで創った檜の4枚矧ぎの天板で白木のまま。この白木のテーブルに合わせて、椅子の塗装の皮膜を剥がしにかかる。
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荒めのヤスリだとキズが深く付くので、紙ヤスリの荒いもので削り始める。
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見る間に塗装前の木肌が見えてくる。根来塗りの様な下にあった素材の顕われる姿は、何か美しい。
木が喜んでいる様にも見えてくる。湯上がりの様な木肌が心地よい。
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時の流れが、洗い流されて行く様な不思議な時間。白木が今の季節にも合っている。
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3年間使用して、亜麻仁油だけで手入れした檜の木肌に、椅子の木肌の色が近づいていく。
椅子の素材の木はオークかブナだろうか。木の種類により生育環境により木の色も違っている事に驚く。人の肌の色も人種や個体の個性で違っているように。木を剥ぐという行為で何か、命が再生する想いを抱いた。椅子を撫ぜるように紙ヤスリをかけている行為が、何か抱擁や、身体を撫ぜる行為にも思えてくる。数年前近くの由緒ある別荘が、築百年近くかのものを、名古屋の専門業者が木を洗い出し、汚れを除いて白木の状態をよみがえらせたという話を思いだした。数千万円の費用がかかったという。
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数日前、湘南平のテレビ塔に登った。相模湾と江ノ島方面がよく見えた。その時、脚元の階段のペンキが歩行者の足底の摩擦ですり減り、見事な根来塗り状態になっていた。意図的にはこの光景は創れない。何層ものペンキを津軽塗りのように研ぎだしたのは靴底達。
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およそ一ヶ月前に近くの山で、アオバトの鳴声を聴いた。新緑が燃える山にアオバト達が今年も帰って来た。
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ゆあがりのきはだのかおりなつはきぬ

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なつをはぐあおばとなきて海も濃し

うくらいな [アート]

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ウクライナ友の言葉はムゴンナリ ムオン

ウクライナの古い都に住む友人から、メールアートが届いた。メールアートは郵便を介して様々なアートのメッセージを伝えあう手法である。数日前に届いた手紙の中には、バッターの様な人影が左右対称に構えあった構図の作品が眼を惹いた。中央にあるのは白い百合の様な花、何の象徴なのだろう。対立する人々は何を求めているのだろう。憎しみの為に家族も別れて右と左、東と西に分裂している構図なのか。じりじりと中央に寄って行く群衆の姿が感じられる。
ウクライナの古都から、どこの空港を経て極東の我が国まで手紙は旅をして来たのか。
手紙は扮装の最中の首都の空も視て来たのだろうか。

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バラバラになった胴体のイラストや、鳥の羽が、彼の国から来たというまざまざしさを目の前に繰り広げている。作者の手が手紙の中に入れた思いが熱気となって冬の日ざしの部屋に並べられる。
作者の家の木の壁、窓の外に広がる田園風景、納屋のアトリエ。

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メールアートは、封筒も様々なメッセージを乗せてくる。これを観た郵便局員や配達人に嶮閲の眼はなかったのか。又どのように感じたのか。視線が封筒に注がれた人々の数を思う。自動読み取り装置は働いたのか。手書きの封筒に冷たい戦争の面影はない。

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たまたま図書館で借りている「拝啓 マッカーサー元帥様」占領下の日本人の手紙/袖井林二郎著から、『1945年から6年間に渡り、約50万通の日本人からの手紙があった事、その中でも元帥が気に入った3500通の手紙の保存がアメリカ、バージニア州のマッカーサー記念館の文書庫にある』という事を知った。真剣な元帥へのラブレターも多くあるという驚き。此の中にはメールアートのようなものは含まれては絶対にないだろう。然しメールアートは1950年代から始まっている。手紙とは不思議なものだ。

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ローズクオーツという美しい石を貰った。紅水晶という名の石だそうだ。



うすらいのような紅ひくはるのこえ  むおん

紅水晶かぎりなく春をうすめたり   無 音

うすべにの石の名問えば春といい   ムオン


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百円で御持ち下さいとあった、オタカポッポ
御主それでもいいのかと問われている気はしたのだが

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するどさの脚絵に描かれ冬の鷹  ムオン


御鷹ぽっぽの脚は切れ込みの入った、白木の上に黒と黄の顔料で描かれているが、描かれている事で生命感が感じられるのは不思議に思う。鋭い刃物の造った造形と潔いかたち。

ウクライナの地に一刻も平和が宿る事を願う。そして我が国も平和を守る事に真剣である国民の国である事を願う。

稲妻獲考 [アート]

鎌倉で加納光於さんの企画展が開かれているので、県立近代美術館迄脚を運んだ。
鎌倉在住で今も現役の作家さんという。会場で圧倒的なパワーを貰った。
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美術館の中庭を見おろして
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源平池の水紋を美術館のひさしに見る
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水紋は、箱根用水の取り入れ口の水面にイメージが連なる。
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水面の輝きは結晶する
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真鶴半島の貝磨き教室で学んだ、鮑の貝を磨いてみる
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貝の内側は真珠色の光沢
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貝の表面も磨くと真珠層に達し、内側と同じような輝きが顕われるという

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加納光於さんの銅版画作品から
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同じく加納さんの作品「稲妻獲りシリーズ」から
この「稲妻獲り」という言葉を最初に見た時、衝撃を受けた。
天空に走る稲妻を獲りさるという途方もない事への驚き。
人は何の為に絵を描き、作品を作るのかの答えのひとつが見つかった気がした。
大胆不敵な「稲妻獲りシリーズ」好きな作品です
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加納作品カタログより
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上は最後の晩餐の弟子達が椅子から去った光景の描写からとか。ベーコンの椅子に座る法王の作品を思い浮かべた。
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上は加納光於企画展の表紙から
画家 司修さんの作品から デカルコマニー技法だろうか。
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滝口修造さんのデカルコマニー作品から
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友人に教えてもらった、シャボン玉獲り。
白い紙の上に絵の具を混ぜた、シャボン玉を飛ばし紙に瞬時に移し込む技法。
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鎌倉への途中、キオスクでのする硝子に映った新聞の誌面の影が、美しかった。波の様に。
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矢吹申彦 [アート]

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昔アーリーアメリカンの素朴派の絵画が好きだった。ポール・ディビスという画家というかイラストレーターが好きだった。脂っぽい色彩と、古い板や、ブリキに描かれた様な質感。その素朴さが何とも好きだった。昨日平塚美術館で開かれている、「初めてみる絵画 絵本の原画展」と題した企画展を覗いてきた。こどものともに、連載された、堀文子さん、長新太さん、田島征三さん、佐藤忠良さん、秋野不矩さん懐かしい作品の原画が、楽しく迫力に溢れる。「きょうりゅうが すわっていた」と題する矢吹申彦さんの原画は懐かしい。黒を荒目の地に塗り込め、板に描き木目が生きている。
雑誌メンズクラブや、エスクァイヤー誌のイラストを懐かしく思い出した。
そういえば、サタデーイブニングポストのロックウェルの表紙もすきだった。
良きアメリカの時代。
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子供達の参観者も企画内容から大勢いた。
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美術館では静かな広い空間が心地よい。
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外は灼熱の世界
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美術館の隣は大きな鉄を打つリズムが聞こえてくる工場。
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美術館のドーム型屋根
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絵本「始めてのお使い」原画から
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同時開催の奈良出身の画家、三瀬夏の介さんの日本画展。壁一面の大迫力の画面には、此の世の終わりと始まりが潔く描かれています。共に九月十六日までの開催。
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