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十二月二十二日 [色]

裏山に一昨日登り、陽だまりにふきの小さな葉が見えた。近付くと枯葉の間から赤子の掌のような蕗の株がそこいらじゅうにある。来年の春先には一面の蕗畑になる光景を想像した。株の群れから少し離れたところの人がよく歩く、踏み固められた大地の上に幾分大きな蕗の葉が放射状のかたちに重なっていた。もしやと、葉の集まる中心を指先でそっと開いた。生まれたての仔犬の、チンポの先にそっくりな蕗の薹が隠れていた。指先に蕗の薹の、濃い春の香りが掠めた。明日の朝の味噌汁に、その春のカプセルを戴きますと、空を見上げ、ポケットの隅に頂戴して来た。山の一面の落ち葉たちも鮮やかな色素から、大地の色へと、変換されていく。色も形も、冬の大地の色に。

蕗の薹は、この時期に取ってしまうのは早すぎるのだが、大地を見つめ、森羅万象の移ろいの逞しさと、儚さを、指先で感じたことに感謝する朝です。

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ふきの香や庫裡いっぱいの幸の家 ムオン





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今年の秋の色を、銀の月の皿に時たま重ねて、眺めています。

秋色から冬色まで、春色の予感も含め多彩な表情の饗宴です。

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