旧東海道の松並木に咲く彼岸花を撮影に行った。
松葉の雫と、彼岸花の雫が、秋の水玉を創る世界。
彼岸花は群生する、若緑の茎が好きだ。
いつの間にか芽を出し、拳のような蕾が天空の簪をつける。
死人花、曼珠沙華、天涯花、幽霊花、捨子花、おどろおどろしい名が付けられたのは
飢饉の際に、アク抜きを適切に行えば球根が食用となるため、やたらに触らぬための
昔の人の知恵だったという話も聞く。
金屏風ゆらりゆらりと曼珠沙華 無音
善と悪いづれも一字曼珠沙華 河野南畔
彼岸花あかるき橋のうら 赤岡淑江
尻を尾で蓋し牛ゆく曼珠沙華 寺治燕居
捨子花わらべ指差す土手の上 無音